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吉備の環PT見聞録 奈義町、西粟倉村 地域の“包容力”実感

西粟倉村に移住して6年目のリファさん(左)のファミリー
西粟倉村に移住して6年目のリファさん(左)のファミリー
奈義町の子育て支援施設で赤ちゃんを少し年上の子どもがあやす
奈義町の子育て支援施設で赤ちゃんを少し年上の子どもがあやす
 地域を巡り、そこに暮らす人たちから話を聞く山陽新聞社の「吉備の環(わ)プロジェクトチーム(PT)」で6~8日、合計特殊出生率が2・95(2019年)と全国トップクラスの岡山県奈義町、移住者が相次ぐ西粟倉村を訪ねた。出会った移住者の言葉から、地域に根付く“包容力”が伝わってきた。

 「謝ることがなくなったんですよ」。5年前、横浜市から奈義町に移り住んだ町森林組合職員の長田有衣子さん(36)に子育てのエピソードを聞くと、こんな答えが返ってきた。

 横浜で1人目の子どもを産み、2歳まで育てた。公園に行くと、幼いせいで遊具でうまく遊べないわが子を、年上の子がうとましく思っているように感じ「ごめんなさいね」。けがで連れて行った総合病院では、子どもが泣く声を「うるさい」と怒鳴られて「すいません」。

 謝ることとセットのようだった子育てが、奈義では一変した。公園では年上の子が「僕が面倒みるよ」と寄ってきた。病院では知らない人があやしてくれた。同町は子ども医療費の無料化など行政の支援も手厚いが、「大人に優しくされた子どもが成長して同じようにする。そんな伝統が子育てしやすい雰囲気をつくっているように感じます」と長田さん。

 次に訪れた西粟倉村で、「移住者がどんどん増えているから、よそ者扱いされたことはないですよ」と教えてくれたのは、6年前にイスラエル出身の夫リファさん(38)と住み始めたヨガインストラクターの田辺亜希子さん(41)=横浜市出身。

 生活が落ち着くまで、昔から住む隣人たちに支えられた。住居になる古民家の修復、畑のこしらえ方、雪のかき方などを優しく教えてくれた。「雪が積もる厳しい冬を協力して乗り越えてきた住民の絆が、移住者を受け入れてくれるベースになっているのでは」と田辺さん。

 「人がいい」―。町や村のよいところを尋ねると、必ず最初に返ってきた言葉だ。住民に出会うたびに実感し、地域に活気がある理由が分かった気がした。

(2021年10月09日 19時46分 更新)

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