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岡山県人の性格は? 岡山弁に見るあれこれ

性格に関する岡山弁は多い(イラスト・うのさちこ)
性格に関する岡山弁は多い(イラスト・うのさちこ)
青山融さん
青山融さん
 津軽の「じょっぱり」、土佐の「いごっそう」、肥後の「もっこす」。これらを総称して「日本三大頑固者」と呼ぶそうですが、「頑固者の気質」を表わす方言は全国各地に伝わっています。われらが郷土にも「頑固者。意固地な人」を意味する岡山弁「こうじくな人」がありますし、よく似た性格で「頭の固い一徹者」のことを「きっぽうな人」と言います。

 というわけで、今回は「人の性格」を表現する岡山弁をあれこれ探してみることにしましょう。まずは1980年リリースの流行歌『野風増』にも歌われた「のふうぞう」。「やんちゃで態度のでかい生意気な奴」を表わすメジャーな岡山弁です。本来はマイナス・イメージの言葉なのに、歌の中では「男は野風増くらいのほうが良い」と持ち上げられました。語源は「無作法であること。図太くいばっていること。また、その様子」を示す「野風俗(のふず)」だとか。

 岡山でよく耳にする「すらんこう」は「ずるくて不人情で無責任な人」といった意味。また「おうどうな人」は「大胆不敵な、無茶をする人」のことで、辞書には「おうどう【横道】人間としての正しい道に外れていること。よこしま。邪道」と載っています。さらに「ごうつくな(強情で意地汚い)人」や「よくどうしい(欲張りな)人」や「てにあわん(したたかで意地悪な)人」や「こびい(ケチな)人」や「こしい(ずるい)人」もいて、できればあんまり交際したくない感じです。

 さらに「ひつけえ(しつこい)人」や「いら(気忙しい人)」がいるいっぽう、「ぐしい(間の抜けた)人」や「ちょれえ(おっちょこちょいな)人」もいます。彼らのグレードがもう少し上がれば「とっぱあ」とか「あんごう」(どちらも「馬鹿者」という意味)に昇格するわけで、初期症状・自覚症状のある方は気を付けましょう。なお「あんごう」がパワーアップすれば「おおあんごう」です。「あんごう」の語源は「鮟鱇(オオサンショウウオ)」だとされています。

 なんだか嫌な性格ばかりが続きましたが、岡山人はみんな性格が悪いと思われたら困ります。岡山には「とんさくな(気さくな)人」も「もとおる(口八丁手八丁で有能な)人」も「しゃんとこべえ(しっかりした人)」もたくさん存在します。もちろん「気が弱い人」もいて、「まてえ人」と言われます。この「まてえ」は「またい」が訛ったもので、辞書には「またい【全い】①完全である。②無事である。③性格が素直・円満である。④正直で律儀。馬鹿正直」と出ています。人格が円満だと気弱に思われるということでしょうか。

 さらに進んで「臆病者」となると、岡山には「おんびん」という単語があり、語源は「穏便」かも知れません。「おんびん」を強調すれば「おんびんたれ・おんびんくそ」とかなり強烈になります。なお「おんびん」と同じ意味の岡山弁「しょうとぎも」も面白い言葉です。小鳥の「ホオジロの肝」くらい肝っ玉が小さいというところから来たものだそうです。

 逆に「物おじしない人」を岡山では「おめん人」と言い、「この子はまあ、知らん人に抱かれても、いっこもオメンなあ」などと使われます。辞書には「おめる【怖める】気後れする。恐れる。臆する」が載っていますが、現代共通語ではわずかに「おめず臆せず」というフレーズや副詞「おめおめ」に形を変えて生き延びているだけ。岡山では動詞「おめる」が今なお現役なのです。

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青山 融(あおやま・とおる) 岡山弁協会会長。映画「バッテリー」「でーれーガールズ」などで方言監修、指導を担当。岡山が生んだ名探偵・金田一耕助、古墳、路上観察など興味の的は多岐にわたる。雑誌「月刊タウン情報おかやま」「オセラ」の編集長など歴任。著書に「岡山弁会話入門講座」「岡山弁JAGA!」「岡山弁JARO?」など。東京大法学部卒。1949年、津山市生まれ。

(2021年09月27日 12時19分 更新)

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