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みずほに改善命令 組織の在り方徹底検証を

 顧客に影響を与える事態がこれだけ続けば、国の厳しい対応も仕方あるまい。

 システム障害を繰り返すみずほ銀行と親会社のみずほフィナンシャルグループに対し、金融庁が銀行法に基づく業務改善命令を出した。同庁が原因究明の検査途中にも関わらず処分に踏み切り、その内容も民間銀行のシステム運営を国が監視するという異例づくめの行政処分である。みずほは事態の深刻さを重く受け止めなければならない。

 みずほ銀では今年、計7回のシステム障害が起きた。2月には稼働中の現金自動預払機(ATM)の約8割が停止し、5千以上のキャッシュカードや通帳が内部に取り込まれた。顧客対応が後手に回ったこともあり、ATMの前で多くの顧客が立ち往生した。3月にも外貨建て送金の不具合など3件の障害が続いた。

 この事態を受け、金融庁は今春から検査に着手した。みずほも6月に第三者委の原因調査報告を受け、社長・頭取ら関係役員の処分とともに、企業風土にまで踏み込んだ再発防止策をまとめた。ところが8、9月にも窓口取引やATMの停止が続発。今回の行政処分は、国が自浄能力に見切りを付けたことになる。

 一般にITシステムで障害を完全になくすのは不可能とされる。その中で、一連の障害がこれほど問題視されるのは、銀行のシステムが生活や企業活動に欠かせない社会インフラになっているからだ。重大な障害が三大メガバンクの一角で続くのは異常な状況といえる。

 みずほ銀は2002、11年にも大規模なシステム障害を起こした教訓から、最新鋭の基幹システムを約4千億円を投じて構築し、19年7月から移行した。他のメガバンクとの違いとして挙げられているのは、開発事業者を1社に絞らず、合併前の各行と関連のある各業者を中心に4社が関与しており、システムが複雑化した可能性だ。

 みずほ銀は「システム自体に欠陥はない」とするが、全体を熟知した人材の不足も指摘される。顧客対応と危機管理でも、情報提供の遅れなど顧客本位とはいえない対応が続く。なぜ障害が頻発し、影響が広がるのか、予断を持たず、原因を一から洗い直す姿勢が欠かせない。

 金融庁の責任も増す。今後障害が起きれば批判が国に向く可能性もある。今回の処分は、障害につながる恐れのあるシステム更新をできなくするなど、あくまで障害の連鎖を止めるのがねらいだ。検査の終了後、責任問題を含めて再処分する見通しであり、検査には厳格さが求められる。

 みずほにとって信頼回復への道は険しい。デジタル社会で銀行のITシステムは一層重要性を増している。この事態を招いた組織の在り方を検証し、責任を明らかにした上で、意識改革を含め実効性ある対策を着実に進めていかねばならない。

(2021年09月27日 08時00分 更新)

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