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最初の結婚で得た姓をいまも使い…

 最初の結婚で得た姓をいまも使い、現在の夫は化学者。かまれたことがあるから犬は苦手で、オペラ鑑賞やサッカー観戦を好む。出回っている情報はこのくらいで、私生活はほとんど知られていない▼ドイツ国政を16年間にわたって率いたアンゲラ・メルケル首相である。26日に投開票される総選挙には出ず、次期政権の発足に伴って政界を引退する▼旧東ドイツで育った。冷戦の象徴だった「ベルリンの壁」の崩壊がなければ、そのまま物理学者を続けていたかもしれない。東西ドイツの統一という激動の時代に、35歳で政治の道へ。ドイツ初の女性首相になったのは51歳のときだった▼「柔軟な現実主義者」と評される。出身の保守政党の考えと違っていても政策転換をためらわない。脱原発や同性婚容認も、もともとは他党の看板政策だった▼現実を見据えた危機管理の手腕は新型コロナウイルス禍で発揮された。「民主主義のもとでは政治的決定は透明性を確保し、説明を尽くす必要がある」と言明し、折々の会見で国民に丁寧に語り掛ける姿は高い評価を得た▼翻って日本では、コロナ対応のまずさで政権支持率が落ちた。背景には以前から指摘されたリーダーの説明不足があろう。「欧州の盟主」と呼ばれた宰相の後ろ姿を見ながら、政治指導者の望ましい姿とはどんなものかと考える。

(2021年09月26日 08時00分 更新)

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