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「2桁勝利・2桁本塁打」の記録…

 「2桁勝利・2桁本塁打」の記録を打ち立てた米大リーグのベーブ・ルースは、自ら二刀流を選んだわけではなかった。レッドソックスには投手として採用された。実現には時代状況もあったようだ▼「ベーブ・ルース自伝」(宮川毅訳)によると、転機は1918年だった。第1次世界大戦に伴い主力打者が欠けたこともあり、監督から外野手との掛け持ちを提案された。試合に出続けられるからと、迷わず応じたのがきっかけだ▼投手で13勝を挙げた。本塁打は11本だが、「飛ばないボール」の時代だったからリーグのトップに並んだ。驚異的な運動能力が生み出した神業だったに違いない。それでも両「2桁」の大記録はこの年限りだった▼翌シーズンには「へとへとに疲れてしまう」と監督に弱音を吐いている。打撃に開眼し、20年に移籍したヤンキースでは本塁打王として名声をつかんでいく。偉大な先人でさえ二刀流は長く続けられなかったのだ▼今年、エンゼルスの大谷翔平選手が自らの意思でその偉業に挑んでいる。103年ぶりの大記録達成は、投手としてあと1勝すれば実現するところまできている▼当時はスペイン風邪が猛威を振るい、今はコロナ禍で暗いムードが広がる。偉業が期待される時代背景も似る。日本の若武者による新たな伝説の誕生を祈らずにはいられない。

(2021年09月25日 08時00分 更新)

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