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敬老の日 孤立させぬ社会目指そう

 きょうは「敬老の日」。厚生労働省によると、2020年の日本人の平均寿命は女性が87・74歳、男性が81・64歳となり、ともに過去最高を更新した。国別では女性は世界1位、男性は同2位。100歳以上(15日時点)の高齢者も過去最多の8万6千人超となった。医療の進歩などで51年連続で増え続けている。

 年齢を重ねても誰もが安心して暮らせる社会が理想だろう。だが昨年来、猛威を振るう新型コロナウイルスの感染拡大が、お年寄りらの暮らしや健康を脅かしている。

 今夏まとめられた21年版の厚生労働白書は「新型コロナウイルス感染症と社会保障」がテーマだ。高齢者に関しては、外出の自粛など他者との交流機会が減っていることから、運動や散歩といった身体活動時間の減少や、認知機能の低下が懸念されると警鐘を鳴らす。

 内閣府の調査では、全国的に緊急事態宣言が発令された昨年春ごろの状況について、60歳以上の人に、同居人を除き、対面や電話などで何人と話しているかを尋ねたところ、「誰とも話さない」と答えた人は2割に上り、感染拡大前の1・5倍に増えた。また、75歳以上を調査対象にした自治体のデータによると、「きょうが何月何日か分からない時がある」「(ここ2週間)毎日の生活に充実感がない」など認知機能の低下や、うつ傾向が見られた人の割合が感染拡大前より増えているという。

 高齢者らの交流機会が減る中、地域住民とのつながりを生み出す動きが出ている。コロナ禍で深刻化する孤独や社会的孤立を防ぐ取り組みとして期待されよう。

 総社市内では、高齢化率が高いとされる地区で、岡山県立大の学生グループが1人暮らしのお年寄り宅を訪問し、話し相手になるサービスを今春から始めた。地元ボランティアと連携し、1時間程度、世間話をしたり悩み事を聞いたりすることで、孤独感を抱くお年寄りの心の支えになっているそうだ。

 大阪府の吹田市社会福祉協議会では、ある地区で続いていた1人暮らしの高齢者向け昼食会が中止となったため、大学生グループと協力し、学生とお年寄りが手紙をやりとりする関係をつくった。交流会も開くなど新たな絆が生まれている。

 心身機能が衰えるフレイル(虚弱)予防に取り組む動きもある。岡山市は早期発見を狙いに出張チェックに乗り出した。老人会や趣味のグループなど20人以内を目安にした少人数の集まりを対象に理学療法士ら専門職員を派遣し、健康状態の確認、体操指導などを行っている。

 コロナ禍が長期化しているだけに、高齢者の健康を守り、孤立を防ぐ取り組みが一層重要となっている。オンラインの活用も含め、家族や知人、地域社会によるつながりでお年寄りを支えたい。

(2021年09月20日 08時00分 更新)

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