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自民党総裁選 疑問や不安晴らす論戦を

 菅義偉首相の後継を決める自民党総裁選がきょう告示される。安倍晋三前首相と石破茂元幹事長が戦った2018年以来、3年ぶりに党員票を含む完全型での実施となる。

 候補者は党所属国会議員の383票と同数の党員投票の計766票を争奪する。このうち、郵送などによる党員投票は28日に締め切られ、都道府県連ごとに集計された得票の合計を比例配分して候補者に割り振る。

 一方、議員は29日に東京都内で投票し、党員票の集計結果とともに開票する。過半数を得た候補がいないときは上位2人で決選投票に進み、国会議員の383票と都道府県連に1票ずつの計430票で争う。この場合は比重が大きい国会議員の支持獲得が鍵を握ることになろう。

 最優先で取り組むべき新型コロナウイルス対策はもちろん、その影響で傷ついた経済の立て直し、緊迫する国際情勢の対応など課題は山積している。日本の針路について活発に論戦を交わし、国民の疑問や不安を晴らす機会とせねばならない。

 岸田文雄前政調会長と河野太郎行政改革担当相、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行が立候補する見込みだ。

 コロナ対策を巡っては、一番に出馬表明した岸田氏が病床と医療人材を確保して「医療難民ゼロ」を実現するとともに、危機発生時に強い指揮権限を有する「健康危機管理庁」の創設を提唱した。

 菅内閣でワクチン接種推進を担ってきた河野氏は、国民の不安払拭(ふっしょく)に向けて情報開示を約束し、2回目接種後の経済・社会の姿を示す意向も示した。高市氏はロックダウン(都市封鎖)を可能にする法整備の検討と併せ、治療薬について国内生産体制の構築を政策に盛り込んだ。

 必ずしも十分でなかった国民への説明を尽くし、危機感を共有することが重要だ。さらに、具体的で納得できる今後の道筋を示せるかどうかが問われることになろう。

 総裁選ではこれまで、地方票と呼ばれる党員・党友票が勝負を大きく左右した。衆院選を目前に控えた今回は、国会議員も有権者の反応を見て投票行動を決める傾向が強まり、地方票の重みは増す。

 主な派閥が菅首相の支持に雪崩を打った昨年の前回選から様相は一変した。派閥の締め付けが利きにくい状況である。衆院選に不安を抱える若手議員らにとっては「選挙の顔」にふさわしいかどうかを意識して選びたい思いもあろう。だが、肝心の政策やリーダーとしての資質の見極めを置き去りにしてはならないのは言うまでもない。

 官邸主導の政治が長く続き、党内の合意形成機能の弱体化が指摘されてきただけに、総裁選の決着の仕方は、自民党がこれからも政権を担う与党としてふさわしいかどうかを示す機会にもなる。総選挙の判断材料として注意深く見守りたい。

(2021年09月17日 08時00分 更新)

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