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秋元議員に実刑 カジノの検証欠かせない

 「政治とカネ」を巡る問題に司法が重い判断を示した。

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件で、収賄と組織犯罪処罰法違反(証人等買収)の罪に問われた衆院議員の秋元司被告=自民離党=に東京地裁は懲役4年、追徴金758万円の実刑判決を言い渡した。

 被告は、IR担当の内閣府副大臣などを務めていた2017年9月~18年2月、参入を目指す中国の企業側から現金や旅費負担など計758万円相当の賄賂を受け取った。保釈中には贈賄側に裁判での偽証を依頼し、現金の提供を持ち掛けたとされる。

 判決は「証人買収という前代未聞の司法妨害に及んだ」と断じ、「旅行で至れり尽くせりの接待を受けた。要職にありながら特定の企業と癒着し、社会一般の信頼を大きく損ねた」と厳しく非難した。

 事実なら極めて悪質で、言語道断と言うほかない。無罪を主張してきた被告は即日控訴し、次期衆院選に出馬する意向を示している。まずは辞職して信を問うべきだろう。

 IRは、安倍晋三前首相時代に成長戦略の柱として打ち出された。民間の投資で国際会議場や劇場、ホテルといった施設とカジノを一体的に設け、海外の富裕層ら訪日客を増やして税収増や雇用創出を図る狙いだ。しかし、カジノ解禁によるギャンブル依存症の増加や治安悪化などへの国民の不安は根強い。

 IR誘致が主要争点となった先の横浜市長選では、反対を掲げた新人の山中竹春氏が推進派の現職らを大差で退けた。今月10日に市議会の所信表明で誘致からの撤退を宣言した。今後、必要な手続きを進めるという。選挙戦では、中止の立場で立候補しながら菅義偉首相の全面支援を受けた前閣僚が落選した。政府への不満や反発は明らかだ。

 昨年末に決定されたIR整備の基本方針は「世界中から観光客を集め国内各地に送り出し、国際競争力ある滞在型観光を実現する」と意義をうたう。国内で最大3カ所を認定する方針だが、尻すぼみになった感は否めない。

 参入が見込まれる海外企業は、新型コロナウイルスの感染拡大による業績悪化で相次ぎ撤退した。国内の誘致レースも首都圏で唯一の候補だった横浜市が消え、名乗りを上げるのは和歌山県、大阪府・市、長崎県の3地域にとどまる。コロナ収束も見通せず、全国に波及する整備効果を生み出せるかは不透明だ。

 汚職事件をきっかけに、政府職員らがIR事業者と接触する際は原則庁内で複数人が対応し、記録を保存するルールを定めた。事件で判明した「カジノ利権」の闇は深く、実効性には疑問が残る。

 政府は予定通り、来月1日から整備計画の申請を受け付けるが、このまま突き進むべきではなかろう。メリットとデメリットや真に必要な事業かどうかを検証するなど抜本的な見直しが欠かせない。

(2021年09月14日 08時00分 更新)

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