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緊急事態延長 医療体制の確保に全力を

 政府は、緊急事態宣言を発令中の21都道府県のうち、東京や広島など19都道府県について宣言の延長を決めた。岡山、宮城両県は解除し、13日から「まん延防止等重点措置」に移行する。期限はいずれも30日までとなる。

 全国的に新規感染者数は減少傾向にあるものの、首都圏などを中心に医療体制の逼迫(ひっぱく)は続いており、自宅療養者は全国で10万人を超す。自宅で急変して亡くなる事例が相次いだのを受け、8月下旬からようやく各地で臨時の医療施設などの整備が始まった。医療体制の確保に全力を挙げなければならない。

 岡山県などの解除は政府の新たな基準によるものである。新規感染者数より医療体制の状況を重視し、解除を判断することになった。しかし、警戒を緩めてはなるまい。岡山県内の病床使用率(8日時点)は38・6%で解除基準の50%を下回っているものの、新規感染者数と療養者数は依然としてステージ4(爆発的感染拡大)の基準を上回る。

 まん延防止等重点措置への移行に伴い、岡山県は岡山、倉敷市など11市6町を対象区域とし、飲食店などに午後8時までの営業時間短縮や酒類提供の終日停止を要請する。緊急事態宣言下とほとんど変わらない対策になる。感染再拡大を招かないよう、対象区域外の地域も含め、緊張感を持って感染防止に努めたい。

 医療現場では新しい治療薬の抗体カクテル療法の投与が始まった。重症化リスクの高い人が対象で、岡山県内でも行われている。重症者を減らすことができれば、医療の逼迫を回避できる。効果的な投与の体制を整えたい。

 政府は、ワクチン接種などを条件に行動制限を緩和する方針を示した。希望者にワクチン2回接種が行き渡る11月ごろの実施を想定しているという。

 ワクチンの接種歴やPCR検査などの陰性証明を示すことで、飲食店での酒類提供や県をまたぐ旅行、大規模イベントを認める案が示されている。度重なる緊急事態宣言で飲食業や観光業などは深刻な影響を受けている。感染対策と経済活動を両立させる方策を準備することは必要だ。

 気になるのは、引き続き政府が「ワクチン頼み」で対策を進めようとしていることだ。人口の7割が接種を終えた国でも、感染力の強いデルタ株によって感染が再拡大。時間の経過に伴ってワクチンの効果は下がり、3回目の接種を始めた国もある。

 ワクチンは重症化を防ぐ効果があるものの、接種後に感染する「ブレークスルー感染」も起きている。集団免疫が獲得できないことを前提に経済を動かすなら、感染者を早期に発見できる検査体制が重要だ。すでに一部自治体は、保健所の検査対象にならなくても無料や低価格で受けられる検査を独自に始めている。政府は検査体制の拡充を図るべきである。

(2021年09月12日 08時00分 更新)

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