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障害児手当 不合理な差は看過できぬ

 国の制度であるのに、住んでいる地域によって不合理な違いがあるとすれば看過できない。障害児の保護者が受け取れる「特別児童扶養手当」を巡り、判定事務を担う都道府県や政令指定都市の間で、人口当たりの支給対象児童数に大きな差がついている問題である。

 手当は障害児を育てる経済的な負担を補うのが目的で、親らの申請を都道府県と政令市の判定医が審査し、支給の可否などを決めている。本年度の支給額は障害の重い1級が月5万2500円、2級で3万4970円。全国で約24万5千人が受給している。

 最新の2019年度データを共同通信が分析したところ、1万人当たりの対象児童数は全国平均で121人だが、最も多い沖縄県の269人と、最少の東京都の53人で5倍強も差があった。岡山県は79人、広島県169人、香川県107人。政令市では、最多の浜松市(193人)と最少のさいたま市(67人)の開きは3倍弱で、岡山市は75人、広島市151人だった。

 そもそも申請の件数に大差がついている。最多は大阪市の1万人当たり40件、最少は東京都の8件で、岡山県と岡山市はともに11件、広島県23件、広島市22件、香川県16件だった。

 こうした背景には、受給できる障害の説明が、自治体によって異なっていることがあるとされる。例えば、対象児童数、申請件数とも最少の東京都は、知的障害の「療育手帳」で最も軽い第4段階の児童を支給対象の目安に含めておらず、軽度の障害児の多くが門前払いされているとみられる。

 審査は判定医が1人で書類を見て行うが、「厳しさに個人差がある」との声も自治体から聞かれるという。手当には所得制限があるため、所得の地域差が影響している可能性があるとはいえ、不公平な扱いは許されない。

 この手当については、申請しても「障害が基準より軽い」として却下される件数が19年度までの10年間で3倍近く増え、3950件に上っていることも明らかになった。

 その理由に厚生労働省は軽度の発達障害で申請する人が増えたことを挙げるものの、識者から「厳しい社会保障財政に対する判定医の意識が反映されているのではないか」との指摘も出ていることは気掛かりだ。障害者団体が審査基準の明確化などを求めているのは当然である。

 支給対象児童数などの地域差は厚労省も問題としており、研究班で実態を調査し、対策を検討している。保護者が申請時に提出する診断書の様式を見直し、判定のばらつきをなくす考えという。

 さらに複数の人で審査するなどの見直しとともに、当事者の立場に立って納得できる説明が必要だろう。障害児の生活状況を知る福祉職員を判定に加えるよう求める専門家もいる。検討してほしい。

(2021年09月10日 08時00分 更新)

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