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GIGA構想 不可欠な教職員への支援

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、文部科学省が進める「GIGAスクール構想」が本格化している。ICT(情報通信技術)を活用し、児童生徒一人一人のニーズに合った教育を提供することを目指す「教育現場のデジタル化」である。

 もとは全小中学生への1人1台の学習用端末配備と、高速大容量ネットワークの整備を柱とした2023年度末までの5カ年計画だが、コロナ禍の影響で一気に加速した。

 端末については4年間で配備する計画を1年弱で終え、ほぼ全員に行き渡った。この短期間で、コロナ感染や災害などで登校できない事態になっても「学びの空白」を生まない態勢が一定程度整えられたことは評価できよう。

 とはいえ、取り組むべき課題は多い。各地で感染が児童生徒にまで急速に広がり、夏休みの延長や臨時休校、学級閉鎖をする学校が出ている現状では特に、在宅でも受けられるオンライン授業に必要な環境づくりが急がれる。

 文科省によると、破損リスクへの懸念などから非常時に備えて端末を自宅に持ち帰れるよう準備済みの学校は7月末時点で6割余りにとどまる。夏休み明けにビデオ会議システムを使ってオンライン授業を実施したところ、想定以上に利用者が多かったことから集約する通信回線が一時的に容量不足に陥ったというケースもあった。

 端末がコンピューターウイルスに感染したり、架空請求被害に遭ったりするトラブルも報告される。ハード面の整備に加え、児童生徒や保護者に向けた利用ガイドラインの策定も急ぐべきだ。

 端末を校内外のいずれで使うにせよ、学校現場にかかる負担は大きい。文科省などが7月に行った全国調査には、教職員から「ICTに詳しい人に業務が偏る」「担当教科でのICTの効果的な活用方法が分からない」といった懸念や不安の声が多数寄せられた。専門知識を持つ支援員の配置が足りないことも浮き彫りになった。

 これに対し文科省は、各自治体が教職員の研修や支援員育成、機器の故障などに対応する拠点「GIGAスクール運営支援センター」を整備する新規事業を打ち出し、来年度予算の概算要求に64億円を盛り込んだ。現下の感染防止のため業務が膨らんでいる現場にとって、支援の早期強化は不可欠である。

 「多様な子どもたちを誰一人取り残すことのない教育」をうたいながら、既に地域や学校、家庭の事情によってネットワークの接続環境に差が生じていることも気掛かりだ。低所得世帯への通信費支援などには一層積極的に取り組んでもらいたい。

 機器の維持管理に伴う経済的な負担、子どもの視力への影響など長期的な課題も指摘される。国や自治体は丁寧に向き合い、解決を図っていくことが求められる。

(2021年09月09日 08時00分 更新)

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