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概算要求 内容精査し膨張の抑制を

 国の予算は2022年度もかつてない規模に膨らみそうだ。各省庁からの概算要求がまとまり、基本的な政策に使うお金を管理する一般会計予算の総額は111兆6559億円と4年連続で過去最大を更新した。

 巨額の予算は、新型コロナウイルス禍や加速する高齢化への対応で要求額が増え、税収不足を補うための借金の返済に充てる費用もかさんだことが要因だ。今後、政府予算案が決まる予定の年末に向けて、財務省が査定し金額を絞り込む。

 コロナ対策としての医療提供体制の強化など国民の命に関わる費用は欠かせない。コロナ禍に苦しむ事業者向けの経済対策や生活困窮者が対象の救済策の行方も注目されている。とはいえ、巨額の借金を抱え続ける財政の立て直しも急務だ。政策の効果や妥当性などについて議論や精査を尽くし、無駄のない予算を編成しなければならない。

 省庁別では、厚生労働省の要求総額が33兆9450億円で最大となった。高齢化で医療や介護などの社会保障費が伸びることが影響している。その上、コロナ対策の多くは感染状況の予測が難しいとして、本年度に引き続き、金額を示さず項目だけ示す異例の対応を取った。年末の予算編成に向け、さらに費用が膨らむ見通しである。

 懸念が拭えないのは、防衛費が高水準で推移し続けていることだ。防衛省は5兆4463億円を要求した。軍拡を急速に進める中国への対処や台湾情勢の緊迫化をにらみ、沖縄県・石垣島にミサイル部隊を新設することなどで、南西諸島の防衛力強化を目指している。

 一方で、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の代替策として新造する「イージス・システム搭載艦」は建造費を計上しなかった。ただ、この他にも、金額を示さない米軍再編関連経費もあり、防衛費の総額は目安とされる国内総生産(GDP)の1%を上回りかねない状況となっている。抑止力としての効果や必要性を精査することが欠かせない。

 脱炭素やデジタル化など成長が期待される分野に手厚く予算配分する特別枠の要求額は、全省庁合計で4兆円強に上った。電気自動車を購入する際の補助金や、再生可能エネルギーを導入する地方自治体を支援する交付金などだ。ただ、成長分野の名を借りて不要不急な事業が紛れ込む可能性もある。内容を厳密に吟味してもらいたい。

 本格的な景気回復が遅れる中、国の予算は4割を借金である国債発行で賄うなど綱渡り状態が続く。国と地方を合わせた長期債務残高は1200兆円を超え、GDPの2倍以上に上っている。実効性ある施策を展開しつつ、財政の健全化をどう進めていくか。めりはりをつけ、バランスのとれた予算編成とすることが求められる。

(2021年09月08日 08時00分 更新)

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