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ALS闘病の土山さん 自叙伝出版 倉敷、CFで目標額の倍以上支援

「これが私の生きる道」の出版を喜ぶ前田さん(左)と土山哲義さん
「これが私の生きる道」の出版を喜ぶ前田さん(左)と土山哲義さん
CFを通した支援に「応援コメントを読んでは涙が止まらず、感動しっぱなしだった」と感謝を伝える土山剛靖さん=土山哲義さん提供
CFを通した支援に「応援コメントを読んでは涙が止まらず、感動しっぱなしだった」と感謝を伝える土山剛靖さん=土山哲義さん提供
 41歳で全身が動かせなくなる「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」を発症し、自宅のある倉敷市内の病院に入院している土山剛靖(まさやす)さん(50)が、闘病の日々をつづった自叙伝「これが私の生きる道」を出版した。出版費用の一部をクラウドファンディング(CF)で募り、目標を大きく上回る資金が寄せられた。

 <まだまだ人生これから。何かの形で社会に恩返ししたい><生きていく元気をいただきました>。出資者に返礼した著書には、土山さんからのメッセージカードが添えられている。

 香川県仁尾町(現三豊市)出身。小学校から大学まで野球に打ち込み、卒業後は岡山、高知県などで建材メーカーの営業職を精力的にこなした。10年ほど前から身体機能の急激な衰えを感じて受診。原因が分からず各地の病院を巡り、2012年に岡山大病院(岡山市)でALSの診断を受けた。次第に車の運転や歩行、食事、会話といった日常の行動が困難に。人工呼吸器の装着が必要となり18年8月から倉敷スイートホスピタル(倉敷市)で入院生活を送る。

 自叙伝出版の発案者で、高校時代に野球部主将だった土山さんを副主将としてサポートした前田忠士さん(50)=丸亀市=は人となりを「大きな体に大きな声、ひたすら真面目で明るい性格」と表し、「病気と真正面から向き合う彼の力強い言葉に触れ、多くの人に知ってほしいと思った」と話す。

 前田さんは昨年1月に土山さんの兄哲義さん(53)=高松市=に出版を相談。2人が中心となり、親族をはじめ土山さんが在籍した高校、大学の野球部出身者ら約50人で支援グループを結成した。

 土山さんも「自分の経験が人々の役に立つなら」と快諾した。わずかに動く右膝でスイッチを操作して文字を打ち込むパソコンを使い、1年以上かけて執筆。A5判193ページの著書には、進行するALSの症状を受け入れながら、日々を支えてくれる妻と子ども、そして両親、兄弟、職場の同僚、学生時代の仲間への感謝を、飾らない言葉でつづっている。哲義さんは「文章の奥に息づくのは、諦めずに前に進み、周囲への気遣いも欠かさない弟の姿。逆に勇気づけられています」と言う。

 6月に山陽新聞社や中国銀行などが運営する「晴れ!フレ!岡山」でCFを始めたところ、わずか2日で目標額の250万円を達成した。1カ月で倍以上の577万7千円となり、大幅増を受け、発行部数も目標の1千部から4600部とした。返礼品として支援者に贈ったほか、土山さんの母校にも寄贈する予定。残る約300部を1部2千円(送料込み)で販売しており、電子書籍化も検討している。

 問い合わせは哲義さん(080―3509―3276)。

(2021年08月29日 22時04分 更新)

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