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親しき中にも礼儀あり?! コロナ禍 家族間のリモート通話

家族(親族)間のリモート通話。遠慮のいらない間柄でも、礼儀は必要だ(Chaay_tee/adobe stock)
家族(親族)間のリモート通話。遠慮のいらない間柄でも、礼儀は必要だ(Chaay_tee/adobe stock)
河村まどかさん
河村まどかさん
 間もなくお盆を迎えますが、新型コロナウイルスの感染者が急激に増加している今は、県境をまたぐ移動を控えるべきと判断なさっている方も多いことと思います。

 私事ではありますが、県外に在住しております94歳の祖母に会いたくてたまりません。しかし、祖母も今の時期は自粛をすべきであると十分に理解をしてくれております。コロナ第一波の頃に、祖母にタブレット端末のiPadを贈り、家族でのリモート通話を行っています。

 その時の内容も含め、ビジネス上ではなく、家族とのリモート時のエピソードを紹介します。

【エピソード1】
 祖母がビデオ通話に慣れてくれたので、伯母にもその情報を伝え、伯母家族も一家総出で祖母にビデオ通話をした時に、私宛てに祖母からクレームがきました。

 「急に、いつもは会わない孫達からビデオ通話の受信が来て、おばあちゃんは困ったのよ。急なことなので、ファンデーションどころか口紅すら付けていなかったのよ。今度から先に伝えておいてちょうだい」とのことでした。

 私は、毎日のように祖母にビデオ通話をしており、仕事が終わった後に祖母と通話することもありました。祖母がお風呂あがりのこともあり、ビジネス上の通話ではなく、家族(親族)ですので、祖母がお化粧をしていないことは、全く気にかけておりませんでした。

 しかし、祖母は「1年に1度か2度しか顔を見ない孫たちと通話する時には、綺麗にお化粧をしておきたい」とのことでした。そして今思えば、至らぬ気遣いではあったのですが、祖母は年齢のせいか、何かの行事への準備は予定時刻よりもかなり早い時間から行い、待機します。祖母が数日間そわそわしながら待ち続けると、申し訳ないと思いましたが、適度な日程の余裕は取るべきでした。確かに、ビデオ通話は顔が映りますので、家族(親族)といえども配慮が必要であったと、反省しております。

 今回のエピソードは、ビジネス上でのビデオ通話についても学べる点がありますので、皆さまにもご紹介した次第です。リモートワークは、社内のみでなく様々な場所において可能ではあります。しかし、顔の映るビデオ通話において、相手への配慮は必要ですね。

【エピソード2】
 祖母とのビデオ通話をするに当たり、従弟(いとこ)から相談がありました。「仕事でのビデオ通話はしたことがあるけど、おばあちゃんには大して通達事項はないよ。何をしたら良いんだい? 学芸会や結婚披露宴の余興のように、何か芸を用意しないといけないかな?」と真面目に質問してきました。

 そこで、私は、初対面での応対のマナーについての情報を従弟に説明し、ビデオ通話時の祖母との対話に活かしてもらうことにしました。皆さまにも参考にしていただける点があると思いますので、紹介します。

1)
 何も話すことが見つからない場合は、お天気のことから述べてみましょう。遠方からの通話であれば、「こちらは、今日は雨が降っているよ。おばあちゃんの方の天気はどう?」などと、自分のことを説明するだけではなく、相手を気遣う内容を質問形式で行います。そうすると、会話が止まることなく、相手が話を続けてくれます。
2)
 相手への気遣いを、1度のみでなく続けます。「こっちには、おばあちゃんの声がよく届いているよ。おばあちゃんの方には、声が届いている? よく聞こえる?」。以前、電話の応対マナーの時にお伝えした内容を応用してください。聞こえづらいのは、おばあちゃんの耳の調子ではなく、あくまでも機材や電波の確認として伝える気遣いが大切です。

3)
 否定的な言葉ではなく、肯定的な言葉を伝えます。「家族(親族)には、心おきなく本音の話をしたい」との、お気持ちの方もいらっしゃると思います。しかし、最初の印象は大切です。

 悪い例としては「こんな状況になってしまうなんて」「ホント大変な時代だね」など、最初の言葉が暗い状況になってしまうことです。すると、その後の会話も暗くなってしまいがちです。相手が気を遣ってくださる方ならば、最初の会話に合わせた内容の相槌(づち)をしてくださることでしょう。そのことからも、どんどん暗い話題(否定的な話題)になる確率が高まります。

 良い例は、ビデオ通話という画期的なシステムにより、お互いの顔を見ることができる感動を伝えることです。そうすれば相手の返事も肯定的な言葉になる確率が高まります。

4)
 1~3の内容をしてみたが、もう会話がなくなってしまった。

 親しい仲とは言え、容姿に関る話題はマナー違反と言われておりますので、控えた方が良いと思います。

 悪い例として、「最近、恰幅が良くなったんじゃない?」という言葉について考えてみます。マナーの観点では、太った男性⇒恰幅の良い。太った女性⇒ふくよかな人と表現するのがよいとされていますが、それよりも前に気を付けておくことは、まず相手の容姿についての感想を述べないことです。

 数年会っていなかった伯母から、「まどかちゃん久しぶり。顔が見られて嬉しいよ」。そこまでは良かったのですが、続けて「まどかちゃんも年をとったね~」。忌憚のない伯母からの感想ですが、この内容はマナーコラムの悪い例の紹介で使えると思い、笑ってしまいそうだった半面、がっくりした気持ちになりました。くれぐれも、親しい間柄であってもお気をつけください。

5)
 見た目を伝えても良い内容のものもあります。容姿(体型、髪の毛の分量、老けて見えるなど)についての感想を伝えるのはマナー違反ですが、誰でも簡単に変えることのできる項目についての誉め言葉は、相手に伝えることができます。

 良い例としては、洋服の色、ネクタイの色、スカーフの色などに関する「顔映りがとても良いよ」「とても似合っているね」といった声かけです。また先ほど、髪の毛の分量についての感想はマナー違反だと伝えましたが、「素敵なヘアスタイルだね。ロングヘアも似合っていたけど、ショートヘアも似合うね」など、誰でも変更可能なヘアスタイルについての誉め言葉は可能です。ビデオでの会話においても、対面でのマナーを活かすことができます。

 ぜひ、皆さまも素敵なご家族(親族)やご友人との対話をお楽しみくさい。

     ◇

河村まどか(かわむら・まどか) 礼儀作法教室「ドルチェフィニッシングスクール」を2004年に開校。岡山、東京、山口でマンツーマン指導のほか、国内外の企業や自治体、学校などで講座・講演を行い、実践的な接遇マナーや美しい立ち居振る舞い、クレーム対応などを教えている。NHKなどの番組出演や各地の経済誌・情報誌でのコラム執筆、さらに司会者などとしても活動。座右の銘は「継続は力なり」。山口県出身、1976年生まれ。

(2021年08月11日 18時39分 更新)

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