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新谷 コロナ禍葛藤抱え感謝のラン 周囲を信頼 仲間増えた

陸上女子1万メートル決勝で力走する新谷仁美=国立競技場
陸上女子1万メートル決勝で力走する新谷仁美=国立競技場
 東京五輪第16日の7日、陸上女子1万メートルで、広中璃梨佳(日本郵政グループ)が31分0秒71の7位となった。この種目で日本勢25年ぶりの入賞。新谷仁美(積水化学、総社市出身)は21位、安藤友香(ワコール)は22位だった。

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 苦悩が走りに影響を与えたのか。東京五輪陸上女子1万メートル代表の新谷仁美(33)は、新型コロナウイルス禍の五輪に葛藤を抱いてきた。7日、一時は辞退も考えたレースに臨んだが世界レベルの自己記録に遠く及ばず21位に沈んだ。

 「国民の皆さんが反対するなら、五輪をする必要はないと思う」「ネガティブに思っている人に寄り添いたい」。開催賛否が割れる中、率直な言葉を発信してきた。また、こうも言い続けてきた。「結果を出すことはアスリートの大前提。結果以上のものを見せなければならない」と。

 過剰なほど高いプロ意識は一貫して変わらない。妥協を許さない姿勢は幾度となく自らを追い詰めた。2013年の世界選手権(モスクワ)では体脂肪率を5%前後まで落として5位。前年のロンドン五輪であと一歩だった入賞をつかみ取ったが、「この世界で評価されるのはメダリストだけ」と吐き捨てた。25歳で電撃引退を表明したのはその5カ月後だ。

 OL生活を経て18年6月に実戦復帰した理由は「走る方が稼げる」と明快だった。結果への執着心には拍車が掛かったが、変わった部分もある。同い年の横田真人コーチ(33)ら周囲を信頼し「すがるすべを覚えた」。全てを個人の責任で行っていた13年の世界選手権では、痛みを抱えていた足への負担が減らせるとの考えから無理な食事制限を自らに課した。適切な栄養指導を受けた今は誤りだったと断言できる。

 何よりこだわってきた結果は得られなかった。それでも「何度も逃げたくて、そのたびに前を向かせてくれる人たちがいたので走り切れた」と感謝する。陸上界に戻って4年、涙を受け止めてくれる仲間は増えた。

(2021年08月07日 23時26分 更新)

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