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通学路の安全 実効性ある対策急がれる

 子どもたちの通学路を点検し、安全確保につなげるきっかけにしなければならない。

 千葉県八街(やちまた)市で下校中の小学生の列にトラックが突っ込み5人が死傷した事故で、運転していた60歳の男が自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)罪で起訴された。千葉地検によると、職場に戻る途中に飲酒し、居眠り状態に陥った結果だという。

 事故は6月28日に発生。見通しの良い直線の市道で、トラックは電柱にぶつかった後、道路の端を歩いていた5人を正面からはねた。市立小3年と2年の男児が死亡し、1人が意識不明の重体、2人が重傷となった。

 起訴内容が事実なら言語道断である。なぜ仕事中に、それも運転中に飲酒したのか。雇用主である運送会社の管理体制も含め、事実と責任をはっきりさせる必要がある。

 登下校中の交通事故が後を絶たない。警察庁によると、2016~20年に歩行中の事故で亡くなるか重傷を負った小学生2734人のうち、登下校中が908人と約3分の1を占める。12年には京都府亀岡市で集団登校中の児童2人と保護者1人が無免許運転の車にはねられ死亡。岡山県でも18年、赤磐市の県道で運転操作を誤った車による多重事故に集団下校中の児童6人が巻き込まれ、市立小4年の女児が亡くなった。

 将来ある子どもが通学中に命を奪われることなど、あってはならない。ドライバーや業者に安全運転への注意喚起を続ける必要があるのは当然だ。同時に、歩道などが整っていれば被害を抑えられた可能性のある事故もあり、道路の安全対策にも目を向けなければならない。

 千葉の事故現場となった道路は、スピードを出す車が多く危険だとして、地元住民が再三、市に信号機やガードレールの設置を要望していたという。だが、市は用地買収に高額な予算が必要になると手を打っていなかった。

 政府は今回の事故を受け、通学路の総点検を行うとともに、緊急対策を8月に提言することにした。12年の事故後にも国は通学路の緊急安全点検を実施。全国約7万4千カ所の対策必要地点を洗い出し、対応を進めてきたが、今回の千葉の道路はその中に入っていなかったとされる。点検漏れを防ぎ、実効性ある対策を講じなければならない。

 ガードレールや縁石で仕切った歩道をすぐに設けるのが難しい場合でも、安全性を高める手段はあろう。警察庁が進める通学路などの最高速度を時速30キロに制限する「ゾーン30」の設定や、路面にハンプと呼ばれる隆起を付ける方法などがある。通学時間帯の交通量を減らすため、抜け道に使う車などを入れなくする規制も考えられる。

 痛ましい事故を再び起こさないという覚悟を警察や自治体、教育委員会・学校と地域が共有し、安全対策への取り組みを急ぎたい。

(2021年07月27日 08時00分 更新)

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