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人口の偏在 地方活性化で是正を急げ

 総務省が2020年10月1日時点の国勢調査速報値をまとめた。結果から明らかになったのは、人口の減少と都市部への集中がいっそう加速していることだ。偏在の是正が急務となっている。

 外国人を含む総人口は1億2622万6千人で、5年前の前回調査から86万8千人、0・7%減少した。総人口が減るのは2回連続となる。国連推計によると日本の人口は世界11番目で、比較可能な1950年以降、初めて上位10カ国に入らなかった。

 減少傾向が鮮明になった日本の人口で、際立つのがいびつな構造だ。岡山、広島、香川など38道府県で人口が減る一方、増加した9都府県のうち、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)は80万人以上増えて3693万8千人となった。4都県で総人口の29・3%を占め、関西圏、名古屋圏を含めると半数を超える。

 三大都市圏に有名な企業や大学が集積して全国から若者を呼び込み、人口増と経済の活性化がさらなる集中を生み出す構図が変わっていない。

 政府は、人口減少の克服と東京一極集中の是正を目指す「地方創生」を看板政策に掲げている。15~19年度を第1期と位置付け、地方への移住や企業移転を後押ししたが効果が見えない。国と足並みをそろえて取り組んできた自治体とともに、対策の抜本的な見直しが必要だ。

 地方では、それぞれの拠点都市への“ミニ一極集中”も顕在化している。

 岡山県の場合、県全体は1・7%減の188万9千人で40年ぶりに190万人を割り込んだ。減り幅も0・5ポイント拡大し、人口減少が本格化している。だが、27市町村別でみると、岡山市は0・8%増の72万5千人と増加傾向が続いている。倉敷市も減少に転じたとはいえ、47万4千人で0・5%の微減にとどまった。この県南2市に人口の63・5%が集まり、割合は調査のたびに高まっている。

 対照的に県中北部の先細りは深刻だ。津山市は9万人台に減って、県北から「10万都市」がなくなった。このほか減少率が9・3%と県内15市で最も高い高梁市やその周辺市町は落ち込みが大きく、自治体間で連携した対応を模索する動きも出始めている。

 今回の調査で増加率が3・4%と県内トップだった総社市は、待機児童解消などの子育て支援と、企業誘致による雇用創出を柱にした取り組みが奏功したという。

 少子化と人口減少に歯止めがかからない中、「移住者を奪い合う政策でなく、地方の企業を税制優遇などで育て、地域経済の発展をまず考えるべきだ」といった専門家の指摘もある。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、地方分散への関心も高まっている。こうした機運も捉えつつ、地域の活力を引き出すためのより実効性ある戦略を官民一体で打ち出していかねばならない。

(2021年07月26日 08時00分 更新)

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