山陽新聞デジタル|さんデジ

東京五輪が開幕 安全対策に万全尽くして

 東京五輪はきょう、開会式を迎える。新型コロナウイルスに翻弄される中で、迷走を続けた世界最大のスポーツの祭典である。誘致したころに比べ高揚感は乏しいが、始まった以上はやり遂げたい。安全面を徹底した大会運営が何より求められる。

 本来なら1年前に予定されていた大会だ。コロナの世界的な感染拡大が懸念された昨春、史上初めての延期が決まった。その後もコロナ禍は終息することなく、開催地の東京は4回目となる緊急事態宣言下にある。非常時の開催は避けられなかった。

 大会組織委員会の森喜朗前会長が女性蔑視発言で辞任したのをはじめ、直前になって開会式の楽曲制作担当者が過去のいじめ告白を批判されて辞任、制作・演出チームのショーディレクターも過去にホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)を題材にしたコントを発表していたとして解任された。運営面での不手際の続出はあきれるばかりだ。

 観客の有無をめぐっても混乱した。ほとんどの会場で無観客とすることが決まったのは開会式のわずか2週間余り前のことだ。政府や組織委がちぐはぐな対応を続けたことが、国民の期待をしぼませたことは言うまでもない。関係者には猛省を求めたい。

 世界の頂点を目指す選手たちも迷走する対応に苦慮したことだろう。目標が1年延びただけでなく、大会が開催されるかどうかも危ぶまれた。せっかくの地元開催が無観客試合になり、失望した日本選手も多かったろう。かつてない過酷な環境の中で、精神力を維持し続け、体調を整えて、ここまで来るのは至難の業だったに違いない。

 こうした苦難を乗り越えて世界各地から東京に集まる選手は約1万人に上る。迎え撃つ日本選手は史上最多の583人。岡山ゆかりの選手も、陸上、水泳、射撃、自転車など7競技に過去最多となる18人が出場する。地域をあげてエールを送りたい。

 共同通信社の最新の世論調査では、五輪の競技実施を「楽しみにしている」「どちらかといえば楽しみにしている」と答えた人は、あわせて71%に達した。コロナへの不安は消えてはいないものの、競技そのものへの関心が失せたわけではなさそうだ。

 だからこそ、大会関係者は感染対策を徹底しなければならない。来日した海外選手の感染が次々と判明している。感染の拡大により大会が混乱すれば、国民の期待は失望に変わると心すべきだ。

 「東日本大震災からの復興の証し」「コロナに打ち勝った証し」と、大会の意義は時とともに変遷した。もはや開催にこぎつけた以外に大義は見いだしにくい。だとすれば、高額な運営費を削減することや、開催国の気候に応じて日程を設定することなど、大会の見直しを働きかけてはどうか。実現すれば大きな開催意義になるはずだ。

(2021年07月23日 08時00分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ