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西日本豪雨 復興住宅融資再延長を 岡山、広島弁護士会有志が要望書

災害復興住宅融資の申込期限延長を求める女性。被災した自宅の写真を見つめ、「古里へ帰りたい」との思いを強めている=9日
災害復興住宅融資の申込期限延長を求める女性。被災した自宅の写真を見つめ、「古里へ帰りたい」との思いを強めている=9日
 2018年7月に発生した西日本豪雨の被災者が低金利で住宅ローンを組める「災害復興住宅融資」の申込期限が今月末に迫り、岡山、広島の両弁護士会有志が12日、少なくとも1年の期限延長を求め、管轄する住宅金融支援機構と国に要望書を送った。「住宅再建に時間が必要な被災者はいまだ多い」と訴えている。

 要望書では、岡山、広島両県では6月末時点で、建設型仮設や自治体が民間住宅を借り上げる「みなし仮設」などに700人以上が暮らしていると指摘。今後、住宅再建が具体化し、融資の利用を考えている被災者のために期限の延長が必要としている。

 要望書は被災者支援に取り組む大山知康弁護士(岡山弁護士会)ら4人の連名。両県を中心に全国の弁護士100人超から賛同を得たという。

 申込期限は被災から原則2年だが、同機構は被災地の実情に応じて期限を延長しており、既に西日本豪雨では1年、16年の熊本地震では4年延ばしている。大山弁護士らは「熊本の事例を考慮すると、再延長しても公平性は失われない」としている。

 同機構によると、西日本豪雨の被災者による融資の申し込みは、21年3月末までに計858件あった。

自宅再建目指す被災女性「もう少し時間を」


 西日本豪雨で広島県北部の自宅が浸水し、岡山県北部の長女宅に身を寄せている50代女性は、災害復興住宅融資を利用して自宅の再建を目指している被災者の一人だ。経済的な負担や心身の疲労があり、再建に踏み出すには時間がかかったが、「古里へ帰りたい」との思いは強く、融資の申込期限延長を求めている。

 豪雨による河川の氾濫で自宅は床上まで浸水し、近くで人に貸していた建物も半壊した。1人暮らしの女性はたまたま長女宅にいたため無事だったが、建物はいずれも建て直しが必要となり、長女宅での避難生活を余儀なくされてきた。

 解体や新築の費用は見積もりで約2千万円とされ、「大金だし、老後資金も必要なので慎重に考えたかった」。長女や遠方に住む長男と相談してきたが、結論は出せなかった。さらに、地元自治体が長期的な復興計画を策定しておらず、「同じ場所に住み続けてもいいのだろうか」と不安が増大。悩みは深くなり、不眠にも苦しんできた。

 弁護士や福祉の専門家らとも相談を重ね、最近になって融資を活用して自宅を再建する決意を固めつつある。「被災した日から“私の時計”は止まったまま」と言う女性。古里での再出発を願い、「もう少しだけ時間がほしい」と話す。

(2021年07月12日 22時09分 更新)

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