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「VIPP1」立体構造解明 坂本教授ら、作物開発に期待

鳥の巣のような形状をした「VIPP1」の立体構造
鳥の巣のような形状をした「VIPP1」の立体構造
坂本亘教授
坂本亘教授
 岡山大資源植物科学研究所の坂本亘教授(植物生理学)らのグループは、植物が光合成を行う葉緑体の膜にあるタンパク質分子の集合体「VIPP1」の立体構造を明らかにした。このタンパク質が膜の保護や修復に関わり、光合成機能を維持する役割を担うことも確認。高温や強烈な日差しにさらされるといった環境でも安定的に収穫できる作物の開発につながる成果といい、23日付の米科学誌セルに掲載された。

 VIPP1は、植物が光エネルギーを取り込み、細胞増殖や養分の吸収などに使うエネルギーに転換する「チラコイド膜」をつくる集合体。30年ほど前に米国のグループが見つけたが、詳しい構造や機能は不明だった。

 坂本教授らは、単細胞の藻・シアノバクテリアから取り出したVIPP1の遺伝子を、大腸菌に組み込んで培養。精製後に高性能の電子顕微鏡で立体構造を分析した結果、“鳥の巣”のような形状をしていることが分かった。集合体は細長く折れ曲がったタンパク質分子16本が輪を描くように重なり合い、形作られているという。

 遺伝子を操作し、シアノバクテリアのVIPP1の働きを低下させる実験も実施。強い光にさらしてチラコイド膜にダメージを与えた結果、修復されず光合成の能力が落ちたことから、VIPP1が保護と修復を担っていると結論付けた。

 坂本教授は「遺伝子を自在に改変できるゲノム編集により、過酷な環境下でも育つ作物の開発といった研究を続け、世界人口の増加による食料危機の克服などに貢献したい」と話している。

(2021年06月24日 21時32分 更新)

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