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大ヒットからもう40年という。…

 大ヒットからもう40年という。1981年まで1年間放映されたNHKのドキュメンタリー「シルクロード―絲綢(しちゅう)之道」。シンセサイザーの主題曲や夕日の砂漠をラクダの隊商が行く映像を思い出せる人もいよう▼さまよえる湖と楼蘭王国、砂漠の民とオアシスの街ホータンやトルファン…。中国奥地の古代遺跡や少数民族の暮らしは歴史ロマンをかき立て、“絹の道ブーム”が始まる。人気は出版や旅行に広がり、シルクロード展は岡山でも大勢が訪れた▼東西文明を結ぶ壮大な交流路が生まれたのは中国・前漢の人、張騫(ちょうけん、?~紀元前114年)の功績とされる。世界の探検史に輝く長安(現西安)の都から未知の西域へ数千キロの旅路が礎になった▼張騫が歩み、日本のファンが憧れた地も、今はこちらの方が思い浮かんでしまう。中国による少数民族の弾圧だ。挙げた遺跡や街はすべて新疆ウイグル自治区にある▼イスラム教徒のウイグル族に対して、拘束や労働が強制され、文化や宗教、言論の抑圧が報じられる。先日の先進7カ国首脳会議(G7サミット)でも人権や基本的自由の尊重が求められた▼西域探検の功績から「張騫鑿空(さくくう)」の言葉が生まれた。新しい道を切り開く―という意味らしい。ウイグル族たちの前途も切り開かれないか。あの屈託ない笑顔がどうなったのか気にかかる。

(2021年06月18日 08時00分 更新)

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