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こどもの日 近視の予防に取り組もう

 きょうは「こどもの日」。子どもたちが健やかに育ち、幸福な生活を送ることは万人の願いだ。目の健康も社会で守っていきたい。

 現代社会を生きる子どもたちの周りには、スマートフォンやタブレット端末、携帯ゲーム機といったデジタル機器があふれている。小中学校では1人に1台配備されたデジタル端末を活用した授業が本年度から本格化する。

 デジタル機器の利用が広がる中、懸念されるのが視力への影響だ。小中学生の近視の現状を把握するため、文部科学省が初の大規模実態調査を実施することになった。近視は将来的に眼病になるリスクが高まるともされる。実態を把握し、効果的な予防や抑制対策につなげてもらいたい。

 国公私立の小中学校などが対象の2019年度学校保健統計調査で、裸眼視力が1・0未満だったのは、小学生が35%、中学生が57%に上り、いずれも過去最多だった。多くは近視とみられるが、学校では詳細な検査が難しいことなどから、日本眼科医会の協力を得て、全国的な実態調査に乗り出すことになった。

 調査は小学1~中学3年生の計9千人を対象に5~6月に実施する。医療機関から派遣された検査技師が専用の機器を使って、近視によって長くなるとされる角膜から網膜までの長さ「眼軸長」を測定する。スマホの使用時間や外遊びの頻度といった生活習慣に関するアンケートも行い、視力への影響を分析する。

 実際、デジタル機器の利用時間は増える一方だ。内閣府による20年度の青少年のインターネット利用環境実態調査によると、平日1日当たり3時間以上ネットを利用する割合は、小学生が34%、中学生が52%。うち小学生の10%、中学生の21%は5時間以上利用していた。多くはスマホや携帯ゲーム機とみられる。

 日本近視学会理事長の大野京子眼科医によると、近視の要因は、画面を注視することが多くなっただけでなく、遠くを見たり、日光を目に取り込んだりする機会となる屋外活動が減ったことも挙げられる。新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛の影響で、子どもたちがスマホやゲーム機を使う時間がさらに増える事態が懸念される。

 目への負担が高まる中、専門家が呼び掛けているのが、こまめな休憩や屋外での活動である。近視を抑制する習慣として、本やデジタル機器は目から30センチ以上離すことや、20分に1度遠くを見ること、1日2時間は外に出て木陰や日陰で過ごすことなどが推奨されている。ゲーム機などの利用時間を決めるなど家庭でのルールづくりも大事だ。

 世界保健機関(WHO)は50年には世界の2人に1人が近視になると推計し、海外では子どもの近視対策に取り組む国も増えている。適切な利用ルールを作ったり、屋外活動を促したりするなど社会全体で取り組みを進めたい。

(2021年05月05日 08時00分 更新)

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