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「時がたつにつれて、やや孤立無…

 「時がたつにつれて、やや孤立無援と感じるようになった」。将棋の故大山康晴15世名人=倉敷市出身=が著書で語っている。日本将棋連盟の西の拠点として1981年に開館した関西将棋会館(大阪市福島区)の建設に携わった時のことだ▼連盟会長として旗を振ったが周囲は誰も動こうとしない。東京の将棋会館を建て替えたばかりで資金難の当時、時期尚早の声が強かった。しかし、名人の決意は固い。少年時代に修業した大阪への愛着も人一倍強かった▼トップ棋士として盤上で戦いながら土地探しと資金調達に奔走した。行政機関を訪ねて訴え、御堂筋のビジネス街をひたすら歩いて寄付金を募った。悲願がかなうのに4年かかった▼そんな汗の結晶である関西将棋会館が老朽化のため2023年をめどに大阪府高槻市に移転する。今回は将棋のまちづくりを進めている市の側から誘致の働きかけがあったという。盛り上がる昨今の将棋ブームのおかげだろうか▼名人は将棋会館建設の支援者へ感謝の思いを込めてこう記している。「愛棋家諸氏の好意を無にするようなことがあっては、プロ棋士の存在も危ぶまれてくるに違いない」▼新会館は、ファンを第一に将棋の普及に尽くした名人の誓いを次世代につなげる一手となってほしい。23年はくしくも名人の生誕100年の節目である。

(2021年04月19日 08時00分 更新)

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