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韓国与党大敗 強まる文氏の求心力低下

 韓国の首都ソウルと第2の都市釜山の両市長選で、いずれも革新系与党「共に民主党」の候補が保守系最大野党「国民の力」の候補に惨敗。与党執行部は、責任を取って総辞職した。

 来春に行われる大統領選の前哨戦との位置付けだっただけに、与党の衝撃は大きい。文在寅(ムンジェイン)大統領の求心力低下は避け難く、約1年となった残りの任期は厳しい政権運営を迫られよう。

 今回の市長選はいずれも与党系前職が、セクハラ疑惑で自殺や辞任したことに伴うものだ。若い世代の“文氏離れ”が顕著で、ソウルで18ポイント、釜山では28ポイントという大差となった。文氏は「国民の叱責(しっせき)を重く受け止める」との談話を発表した。

 与党が大敗した大きな原因には、失政による住宅価格高騰で庶民が手を出しにくい中で、文氏の側近や土地住宅公社職員らの不動産を巡る不正疑惑が発覚したことなどが挙げられる。「公正な社会の実現」を掲げる文政権の“言行不一致”に対する憤りの表れと言えよう。

 文政権は外交面でも、なかなか成果が示せない。東京五輪を機に南北対話再開を描いていたが、北朝鮮が大会への不参加を表明したことで、その構想も遠のいた。

 大統領の任期は1期5年で再選はない。当初約80%だった文氏の支持率は、今や就任後最低の30%台前半と低迷。人気を挽回するすべは依然見えず、レームダック(死に体)化が加速しそうだ。

 今回の選挙結果を受け、与野党が大統領選にどう臨むか注目される。態勢の立て直しが急がれる与党では、文政権の政策を公然と批判してきた李在明(イジェミョン)・京畿道知事が存在感を増すとみられる。

 一方、保守派も「国民の力」を中心に復調の足掛かりを得たが、敵失の感は否めない。党内に有力候補は見当たらず、検察改革を巡って文政権と対立し辞任した尹錫悦(ユンソクヨル)前検事総長への待望論が高まるが、実現は見通せていない。

 大統領選の行方は、韓国との間に多くの難題を抱える日本にも大きく影響してくる。文氏は最近、元徴用工や元慰安婦を巡る訴訟問題などで、対日関係の改善に前向きな姿勢を示し始めている。

 だが、韓国では政権の支持率が低くなれば、「反日カード」を切って好転を図るケースがよく見られる。日本に譲歩したとみなされる対応は取りにくく、再び日本への風当たりが強まりかねない。

 日韓両国は隣国として経済や文化、人的交流などで密接な関係にある。いつまでもいがみ合っていては、双方の損失は大きい。米国と中国の対立が激化する現状では、協調の重要性はなおさらだ。

 日本は次期大統領選をにらんだ政権や政策の推移、韓国民の反応などしっかり情報収集しながら、あらゆる機会をとらえて友好関係を取り戻す努力をしなければならない。

(2021年04月15日 08時00分 更新)

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