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三井E&S玉野、最後の進水式 創業以来888隻目の地元建造

玉野艦船工場で社員の拍手を受けながら進水するばら積み船。三井ブランドでは最後の商船となる=14日午前11時37分
玉野艦船工場で社員の拍手を受けながら進水するばら積み船。三井ブランドでは最後の商船となる=14日午前11時37分
 三井E&S造船玉野艦船工場(玉野市玉)で14日、三井ブランドの商船としては玉野で最後となる命名・進水式が行われた。1917年に創業して以来、地元での建造は888隻目。10月以降は三菱重工業(東京)が造船設備を活用し、自衛艦や巡視船などを建造する。

 最後の商船は、パナマ船籍のばら積み貨物船「JAL KALPATARU」。全長199・99メートル、幅36メートル、載貨重量約6万6千トン。定員25人。7月下旬の完工、引き渡しを予定している。

 進水式は地域住民らを招いて盛大に開くのが通例だったが、新型コロナウイルス禍のため、建造に携わる社員らに絞り約350人が出席。船主の関係者が陸と船をつなぐ綱を切断すると、巨大な船体がゆっくりと船台から離れ、海へ滑り出した。

 玉野艦船工場は、鉱石や穀物を運ぶばら積み船などの商船と、自衛隊や海上保安庁向けの官公庁船が2本柱だった。海外勢との競合で採算が悪化した商船は受注活動を控えており、今後新造船がある場合は海外の提携工場に委託する方針。常石造船(福山市)とも提携の交渉を進めている。官公庁船については受注済みの船は建造を続けるが、三菱重工への事業譲渡が決まっており、同社が玉野で艦艇などを造る。

 長年、商船の進水式を楽しみにしてきたという玉野市の70代男性は「幼いころから親しんだ風物詩が無くなるのは本当に寂しい。玉野は造船業で発展してきた町だけに、地場経済の今後が心配」と話した。

(2021年04月14日 20時23分 更新)

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