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「当たって砕けろ」でロケの街実現 今しかできないことを見つける

満開の桜の下、「ロケの街 岡山」を目指し決意を固める筆者
満開の桜の下、「ロケの街 岡山」を目指し決意を固める筆者
 新年度がスタートしました。桜の開花で見渡す風景の中に淡いピンク色が彩りを添え、春を感じる今日この頃、入学、進学、入社、異動など新たな環境での生活がスタートし、期待や不安に胸をふくらませている方も多いのではないでしょうか。私は、フィルムコミッション事業に携わり6年目、専任職員となり4年目の春を迎えました。

 今思えば、矢掛町役場を退職しフィルムコミッションの専任職員の道を選んだ時、町長と副町長から「一歩踏み出す勇気は必要だが、やってみたいと思ったことなら挑戦したほうが良い。失敗しても、やらずに後悔するより自分自身にとって得るものは大きいはずだ」と、背中を押してもらった言葉が、仕事と向き合う今の姿勢に影響を与えていると思っています。

 仕事を進める上でモットーとしているのは、「当たって砕けろ」「聞くのはタダ」という言葉です。ロケ地の交渉をする際も、「ダメで当たり前。とりあえず聞くだけ聞いてみよう」という思いで連絡をすることがほとんどです。例えば、人気アイドルグループ「King&Prince」の平野紫耀さんと岡山市出身の女優桜井日奈子さんが出演し中高生を中心に話題となった映画「ういらぶ。」(2018年公開)のメイン舞台として描かれる高校のロケーション。作品の大半を占める高校での撮影に、果たして協力してくれる学校はあるのか…という不安の中、県内の私立高校を中心に何校も問い合わせしました。作品の企画説明をした上で、各校ロケハン対応していただき、撮影に対しても前向きに検討してもらえました。

 そうした中、ロケ地となった吉備高原学園高校(吉備中央町)は、同作品の別物件のロケハン中に学校の前を通過した際に「この学校はどうだろう」となり、急きょアポなしではありましたが、相談にお伺いしたことがきっかけで撮影協力いただけることになりました。ロケーションが素晴らしいのはもちろん、全寮制のため、帰省の連休があり、平日に撮影スケジュールを組めたことなどもロケ地に選ばれた理由の一つだと思います。

 「予約がキャンセルになり、たまたまその日が空きになったから」「実はロケの受け入れに興味はあったが、声が掛からなかったから」など、難しいと思っている場所であっても、タイミングや状況、条件によっては撮影の許可を得られることがあるかもしれないのです。だからこそ、どんな時でも「当たって砕けろ!」「聞くのはタダ」と自分に言い聞かせて気合を入れて連絡します。たとえ断られたとしても、次につながる新しい情報の取得や関係の構築などプラスになることが一つでもあればラッキーと前向きに考えることで、ストレスも緩和されます。

 フィルムコミッションの専任職員になって自ら「3カ年計画」を立て、「映画の街 岡山」の実現に向けてがむしゃらに走り続けてきました。3年目の昨年度は、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言で、新規の問い合わせが途絶えたり、撮影の受け入れができなかったり…と予想もしない事態となりました。

 ただ、ここで何もしないではなく、「なるようにしかならない」「今できること、今しかできないことを見つけ全力で行動する」といった思いでフィルムコミッション事業と向き合うことができた1年でもありました。2021年度もどうなるか全く読めない状況ではありますが、地域や企業の皆さまのご理解とご協力を得ながら、「ロケの街 岡山」を目指して突き進みたいと思います。

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 妹尾真由子(せのお・まゆこ) 2013年に矢掛町役場に入り、16年から岡山県観光連盟に出向して映画やテレビのロケ誘致をする県フィルムコミッション協議会の活動に携わる。18年春、同協議会初の専任職員に就いた。休日は、ロケに活用できるスポットがあるか把握するため、県内をくまなく巡る「一人ロケハン」にいそしんでいる。奈良県立大地域創造学部卒。岡山県矢掛町出身。1986年生まれ。

(2021年04月05日 11時00分 更新)

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