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医療的ケア児 支援の充実へ広い理解を

 自宅で暮らしながら、人工呼吸器や胃ろうを使うなどして日常的な医療的ケアが必要な子どもが増えている。その支援の充実を図りたい。

 厚生労働省が障害福祉サービス事業所に支払う報酬をきのう改定し、こうした「医療的ケア児」を支援する施設を手厚く評価することにした。

 厚労省研究班の推計によると、医療的ケア児は2019年時点で全国に約2万人おり、過去10年でほぼ倍に増えている。背景には医療技術の進歩があり、生まれつき重い障害のある赤ちゃんの命も救えたり、成長に応じて退院して家で暮らせるようになったりしている。

 そうした変化に、自宅に帰った後の支援などの制度は追いついていないのが実情だ。児童発達支援や放課後等デイサービスといった通所サービスは受け入れが十分に広がっていないと指摘される。

 その一因とされるのが、こうした通所サービスの報酬が重症心身障害児向けと、それ以外に分かれていたことだ。医療的ケア児には重症心身障害に当たらない子は多いが、動き回れる場合でも手厚い見守りが欠かせない。しかし、施設にとっては、こうした子を受け入れても、医療的ケアが必要ない子と報酬は変わらないという事情があった。

 制度のはざまにあって通う先が見つからず、子育ての相談相手もいないまま24時間つきっきりで世話をする保護者もいるとされる。支援を求める声が高まっているのは当然だろう。

 障害福祉サービスの報酬改定は3年に1度行われ、2021年度からは全体で0・56%の引き上げが昨年末に決まっていた。その中で通所サービスは医療的ケア児に特化した基準を設け、看護師の配置などに充てる額を手当てする。受け入れ施設の増加が期待できる内容と言える。

 もう一つ、課題となっているのが教育現場での受け入れである。

 医療的ケア児の支援については、国だけでなく自治体が果たすべき役割も大きく、16年の児童福祉法の改正で支援に努めることが定められた。だが、市町村立が多い学校に通う際、保護者が付き添ってケアするよう求められることが少なくない。

 このため、今国会に超党派による議員立法で、支援の強化に向けた法案を提出し、成立を目指す動きもある。具体的には保護者の付き添いが必要なくなるよう、学校に看護師らの配置を求める。各都道府県には、家族の相談に応じ、情報提供や助言をする支援センターの設置を促すというものである。

 子どもの健やかな成長を図るとともに、保護者の離職を防止するとの目的は理解できる。その実現を図るには、当事者家族の声に耳を傾けて、実効性のある仕組みにするのはもちろん、国会審議などを通じて幅広い理解を得ていくことが求められる。

(2021年04月02日 08時00分 更新)

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