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大島青松園の東條さん 亡き妻に歌 CD制作、ともに歩んだ感謝込め

東條さんが制作したCDのジャケット
東條さんが制作したCDのジャケット
「大島の父」と慕う東條さんとCDを制作した沢さん
「大島の父」と慕う東條さんとCDを制作した沢さん
 高松市の国立ハンセン病療養所・大島青松園の入所者東條高(たかし)さん(90)が、亡き妻康江さんへの感謝の思いを歌ったCDアルバム「この道」を制作した。親交の深いシンガー・ソングライター沢知恵さん(50)=岡山市=のピアノ伴奏に合わせ、二人三脚で歩んだ夫婦の思い出の曲を伸びやかに歌い上げている。

 東條さんは16歳で入所し、約5年後に入所者の康江さんと結婚。2人はカラオケが好きで、園内ではおしどり夫婦として知られた。幼少期に同園を訪れていた沢さんと1996年に再会して以来、3人で音楽や旅行を楽しむなど、家族同様の付き合いを続けてきた。

 CDは昨秋、東條さんが90歳を迎えたのを記念して制作。北原白秋作詞の童謡「この道」や唱歌「故郷(ふるさと)」など5曲を収録した。

 中でも大ヒット曲「千の風になって」は2015年に82歳で旅立った康江さんに贈った最後の曲。息を引き取る間際の康江さんに枕元で歌うと「よく聞こえました。本当にありがとう」と答えてくれたという。東條さんは「いつも励ましてくれた、やっちゃん(康江さん)がいなければ、今の自分はなかった」と話し、感謝の気持ちを情感豊かな歌声に乗せた。

 国の強制隔離政策で家族や故郷とのつながりを絶たれ、子どもを持つことを許されなかった入所者たち。沢さんは「お互いしかいないと支え合ってきた東條さん夫妻に固い絆を感じた」。伴侶を失った悲しみを乗り越えようとする東條さんの歌を通じて「大切な人を亡くした人に、少しずつでいいから前を向いてみませんかと伝われば」と話している。

 税別千円。問い合わせは、沢さんのオフィシャルサイト「コモエスタ」のメール(info@comoesta.co.jp)へ。

(2021年03月23日 08時07分 更新)

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