山陽新聞デジタル|さんデジ

明治期に岡山市で生まれた作家の…

 明治期に岡山市で生まれた作家の内田百けんはやんちゃな子だったらしい。近くの後楽園に友達と忍び込み、タンチョウに餌をやり、こっそり魚を捕った。楽しかった思い出をこうつづっている。「後楽園は一生忘れる事の出来(でき)ない夢の園である」▼岡山藩主池田家の庭園だった後楽園は百けんが生まれる5年前の1884(明治17)年、岡山県に移管されて一般公開が始まった。開園式が行われたきょう3月2日は記念日として無料開放される▼平成に入り、年間60万人台と最盛期の約3分の1に低迷していた入園者数は近年、90万人間近に回復していた。夜間ライトアップする幻想庭園や訪日外国人客増加の効果が出ていた▼そこへコロナ禍である。栄西茶会やタンチョウの散策といった恒例行事も中止され、本年度は1月までに約29万5千人と前年度の約4割にとどまる▼そんな中で若い世代が後楽園の魅力に注目しているという。昨秋の幻想庭園では会員制交流サイト(SNS)に多くの書き込みがあり、会期中の入園者は増えた。屋外で密になりにくいのも人気の理由だろうか▼季節の花が彩り、水路にコイが泳ぐ。伝統建築があれば、家族で弁当を広げられる芝生もある。誰にとっても「夢の園」になり得る可能性を秘める。ゆったり散策できる今こそ、県民が楽しまなければもったいない。

(2021年03月02日 08時00分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ