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G7の新体制 協調へ向けた具体策示せ

 日米欧の主要7カ国(G7)がオンラインで首脳会議を開き、今年を多国間主義への転換点にすることで合意した。方向性は支持したい。

 菅義偉首相、バイデン米大統領、ドラギ伊首相が初参加となった。米国のトランプ前大統領が主張する「自国第一主義」路線により機能不全に陥っていたG7を、再起動しなければならない。

 今回とりまとめた声明では、新型コロナウイルス対策として途上国へのワクチン供給を支援することや、経済対策、地球温暖化防止に向けた取り組みを多くの国々と協力して進めることを表明した。

 今夏の東京オリンピック・パラリンピックについても「新型コロナウイルスに打ち勝つ世界の結束の証しとして安全・安心な形で開催するという日本の決意を支持する」との一文を盛り込んだ。日本には成果と言えよう。

 肝心なのは、決意表明で終わらせるのではなく、具体的な行動で示すことだ。そのためにも、ワクチンの供給支援が第一の課題となりそうだ。

 G7は、国連主導で設けられたワクチンを公平に分配するための枠組み「コバックス」に対し、75億ドル(約7900億円)を拠出することを表明した。日本は2億ドル(約210億円)を拠出する。

 ただ、現状ではワクチンのほとんどは先進国や中ロが独占しており、行き渡らない国の方が圧倒的に多い。途上国には中国やロシアが「ワクチン外交」を仕掛けていることも見過ごせない。

 マクロン仏大統領は、欧米が確保しているワクチンを分配すべきだと踏み込んだが、声明には資金提供以外は盛り込まれていない。

 このままでは、自国第一主義から協調路線に転換したG7の存在感は示せまい。安心・安全な五輪開催を目指す日本としても、支援策をさらに増やすことで、途上国の賛同を得る必要があろう。

 中国への対応を巡っても足並みがそろったとは言いがたい。新疆ウイグル自治区の人々や香港の民主派などへの弾圧について、非難も盛り込むことができなかった。

 6月には対面式のサミットが開催される予定で、議長国となる英国のジョンソン首相は、オーストラリア、韓国、インドを招待。新興国の台頭で時代遅れを指摘される「G7」から、民主主義10カ国を意味する「D10」への衣替えを目指していたという。

 しかし、中国が進める「一帯一路」に参加するイタリアが難色を示して、見送られた。中国包囲網の色彩が強まることを警戒したためだとされる。中国に対する姿勢はG7内部でも大きく異なっていることをあらためて浮き彫りにする結果となった。

 バイデン大統領の誕生で、国際協調路線の足並みがそろうと期待されたが、簡単には進みそうにない。日本も含めて参加各国は協調の意義を認識し直すべきだ。

(2021年03月01日 08時00分 更新)

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