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ネット広告 市場の健全な成長目指せ

 公正取引委員会が、米グーグルやフェイスブックなど巨大IT企業が手掛けるインターネット広告の取引実態に関する最終報告書をまとめた。利用目的の説明が曖昧なまま取得した閲覧履歴や年齢などの個人情報を広告事業で使うことは、独禁法上の「優越的地位の乱用」に当たる可能性があるなどと指摘し、現状に警鐘を鳴らしている。

 政府はこれを受け、ネット広告に関する規制の在り方について、近く考え方を示す方針だ。巨大ITはネット広告市場で大きな影響力を持っている。広告配信を巡る透明性を確保し、消費者や広告主らが安心できる利用環境を整えることは急務といえよう。

 「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大ITはネット検索や会員制交流サイト(SNS)などを通じて、サイト閲覧や商品購入の履歴、消費者の位置情報といった個人情報を収集している。こうしたデータを基に個人の関心に沿った広告を表示させており、大きな収益となっている。

 報告書では、巨大ITは運営サービスで寡占的な地位にあり、消費者よりも強い立場になりやすいと指摘。利用目的を十分に説明せずに個人情報を取得することや、消費者が情報の利用を拒否した後も広告に使った場合は、優越的地位の乱用に当たる恐れがあるとした。

 公取委の調査では「どんな情報が広告目的に収集されているのか認識していない」とする利用者は約40%に上る。データ収集に関し、消費者に分かりやすく表示する仕組みとすることが必要だ。

 報告書は、巨大ITと広告主らとの関係についての問題も指摘している。契約内容の一方的な変更や広告配信の打ち切りなどによって、巨大ITが広告主らに不利益を与えることも問題になり得るとした。「(巨大ITが)事前の通知なく契約を解除できる」といった問題のある契約は少なくないとされる。透明性の高い取引環境を整えることが欠かせない。

 巨大ITの規制を巡っては今月、新法の「特定デジタルプラットフォームの透明性および公正性の向上に関する法律」が施行された。一定規模を超えるネット通販企業などに対し契約条件の開示を義務付けるなどし、出店者に一方的に不利益を強いるのを防ぐ。グーグルやアマゾン、楽天などが対象となる見通しだ。政府は新法の活用も含めて、ネット広告を規制する仕組みづくりを進める。

 ネット広告はスマートフォンの普及などに伴って急成長している。国内の市場規模は一昨年、2兆円を突破した。テレビやラジオを含む総広告費の3割強を占めるまでになっており、日常の暮らしに浸透している。

 広告は消費者にとって有益であり、安心できる情報でなければならない。ネット広告市場の健全な成長を促す環境整備が求められている。

(2021年02月28日 08時00分 更新)

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