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待っていてくれるなら、黄色いハ…

 待っていてくれるなら、黄色いハンカチを家の前に下げておいてくれ―。高倉健さん演じる男が刑務所を出所する前、妻に手紙を出す。おなじみの映画「幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ」だ▼恐る恐る家に着くと、何十枚ものハンカチ。感動的なラストシーンだが、男はその後も幸せに暮らせたのだろうか▼時代を超えて、そんな疑問に答えるような映画が上映中の「すばらしき世界」である。役所広司さん演じる男が刑期を終え、再出発しようともがく姿を描いたものだ▼男に待っていてくれた家族はいない。かっとしやすい半面、真っすぐな性格。番組のねたにしようと近づいてきたテレビマンら周りの人は、やがて励まし応援するようになる▼作家佐木隆三さんのノンフィクション小説「身分帳」が原作だそうだ。映画を見て、本紙で2年前に読んだ40代の男性の言葉を思い出した。「逮捕後、人生で初めてたくさんの人にお世話になった」―▼障害のある人や高齢者らの再犯を防ぐため、逮捕直後や裁判の段階から弁護士が社会福祉士と連携して更生を支える取り組みが岡山県内で行われているという記事だった。窃盗容疑などで逮捕された男性も執行猶予付き有罪判決の後、計画に沿い支援を受け、恩返しのために更生を誓っていた。黄色いハンカチを下げられるのは、家族だけではないのだろう。

(2021年02月28日 08時00分 更新)

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