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休業支援の拡充 非正規救済へ周知進めよ

 従業員が休業手当を直接、国に請求できる「休業支援金・給付金」の対象を、中小企業だけでなく大企業で働く非正規労働者にも広げることを政府が決めた。

 労働基準法は休業が企業の責任である場合、平均賃金の6割以上を支払わなければならないと定めている。正規、非正規の区別はない。

 この手当を企業の申請に基づき政府が肩代わりする「雇用調整助成金」の制度もある。だが、新型コロナウイルス感染拡大による休業は「会社の責任でない」などとして支給されないケースが後を絶たず、看過できない状況だ。

 こうした労働者を救済するため、政府は昨年6月に労働者自らが申請する休業支援金・給付金を新設し、日額上限1万1千円で賃金の8割を支給することにした。ただ、大企業は雇用調整助成金を利用できるだけの事務能力があるとして、対象は中小企業の労働者に限られた。

 それ以降、正社員には支払っているが、パートやアルバイトには払わない大企業があるとの訴えが続発した。労働政策研究・研修機構が昨年8月に実施した調査では、勤務先から休業を命じられたが、休業手当が全く支払われていない非正規は33・4%で、正社員の2倍を超える。休業を命じられた割合も非正規の方が高く、待遇格差が改めて浮き彫りになったと言える。

 特に、緊急事態宣言後の短縮営業を巡り、シフトが決まっていない分は休業手当を支払う義務はないと通告したケースが問題となった。これに対し、政府の要請があったにせよ、最終的に休業するかどうかは企業の判断で、シフト勤務でもコロナ前の実態に応じて企業に支払い義務があると指摘する弁護士もいる。

 政府も支援に消極的だったと言わざるを得ない。今月初め、対象を大企業にも拡充すると発表したが、その期間を2度目の緊急事態宣言と同じ1月8日以降としたことに対し、「あまりにも対象期間が狭すぎる」などの批判を招いた。その後、同様に宣言発令中だった昨年4~6月分などの休業についても賃金の6割を支給すると決めた。

 その一方、休業手当を正社員にしか支払わないことは「同一労働同一賃金」の規定に違反する恐れがあるとして厚生労働省が手当の支給を求める通知を大企業に送っていたことも明らかになった。通知は昨年11月に全国の労働局に出され、少なくとも25の大企業に送付された。

 しかし、先月までに支払いに応じた企業はなく、実効性の確保も課題となった。今回、支援が拡充されるとはいえ、負担を逃れるための企業の安易な不払いが許されないことは言うまでもない。

 特例を重ねて仕組みは複雑になった。心配なのは、自分が対象であることを知らず、申請に至らない非正規労働者が出ることだ。制度の周知をもっと進めるべきである。

(2021年02月26日 08時00分 更新)

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