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一気の攻めを身上とする将棋の糸…

 一気の攻めを身上とする将棋の糸谷(いとだに)哲郎八段(32)=広島市出身=が昨年末、棋王戦(山陽新聞社主催)の挑戦権を初めて獲得した。26歳で竜王位を手にした逸材で、タイトル戦は2016年の王座戦以来となる▼その豪快な棋風から「怪物くん」の異名を取る。17歳でプロ入りし、その翌年に現役で大阪大に合格。大学院にも進んでドイツの哲学者・ハイデッガーを研究し、在籍中に竜王を獲得するという異色の経歴を持つ▼だが勝負の世界は学業と両立できるほど甘くはない。タイトル獲得後は多忙で休学せざるを得ず、6年かかって修士課程を修了した。哲学の思索も将棋も「どちらも常識を疑うことが大切」と言う▼新人時代に「将棋界は斜陽産業。僕たちの世代で立て直さなければ」と言ってのけ、物おじしない言動でも注目された。優等生タイプが多い棋界にあって、思ったことを素直に言い、実行する▼20代から仲間とグループをつくり、若いファン層の掘り起こしに取り組んできたのもその一つ。現在は日本将棋連盟棋士会の副会長として将棋の普及に努め、一昨年の秋には西日本豪雨で被災した矢掛町でチャリティーイベントを開いた▼こんな個性派の若手が増えていけば棋界はさらに面白くなろう。かつて竜王を奪われた宿敵、渡辺明三冠(36)との5番勝負は2月7日に開幕する。

(2021年01月18日 08時00分 更新)

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