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中国の故事に「呉越同舟」という…

 中国の故事に「呉越同舟」という言葉がある。仲が悪いもの同士が居合わせて同じ場所にいるという意味で使われるが、本来は危機に直面すれば、不仲なものでも協力して難局に当たることだという▼孫子の兵法の一節にある。春秋戦国時代、呉の国と越の国は揚子江を挟んで争っていたが、両国の住民が同じ舟に乗って川を渡る時、強風に遭遇すれば互いに助け合うはずだと▼与野党がいがみ合うわが国の国会もコロナ禍という危機を前に、ようやく動きだすのだろうか。来週から始まる通常国会で、新型コロナウイルスの特別措置法改正案を前向きに審議する方針と伝わる▼国会は昨年12月初めに閉会し、40日以上も休会が続く。この間、感染者は急増し、病床も逼迫(ひっぱく)した。政府は2回目の緊急事態を宣言し、対象地域も広げた。改正案には宣言に実効性を持たせるため、都道府県の権限強化などが盛り込まれそうだ▼悪化する現実を追いかけるだけの政権の対応は頼りない。野党の指摘も立法の議論に反映されなければ意味を持たない。改正法の成立は早くて2月初旬というから宣言期間内に間に合うか微妙だ。大切な時期に国会を休んだつけは大きい▼緊急事態なのだから与野党が知恵を集めて難局を乗り切る道を探るべきだ。努力を怠ると、政治不信の拡大を心配しなければならなくなる。

(2021年01月16日 08時00分 更新)

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