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緊急事態宣言拡大 危機感伝わる発信必要だ

 政府は、新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言の対象地域に、栃木、岐阜、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡の計7府県を追加した。先に発令した首都圏1都3県と合わせ、計11都府県へと大幅に拡大した。

 首都圏に発令した7日の時点では、菅義偉首相は対象拡大に慎重な姿勢を見せていたが、見通しの甘さを露呈した形だ。先に危機感を募らせた知事側が政府に宣言発令を要請しており、政府の対応は相変わらず、後手に回っていると言わざるを得ない。

 首都圏と同様に、緊急事態宣言の期間は2月7日までで、対象地域では知事が飲食店に午後8時までの営業時間短縮を要請する。テレワークなどにより、出勤者の7割削減を事業者に働き掛ける。

 感染者の急増で医療体制が逼迫(ひっぱく)しており、できるだけ早く感染者を減少に転じさせることが求められる。しかし、危機感が国民に共有されているかといえば、疑問だ。

 問題は、政府の情報発信が不十分なことである。13日の記者会見で、菅首相は昼間の外出自粛も呼び掛けたが、7日の会見では午後8時以降の外出自粛を強調し、日中については言及しなかった。「午後8時以前なら大丈夫」と受け止めていた国民も多かったのではないか。

 首都圏では、宣言発令後も繁華街などの人出は大幅には減っておらず、テレワークも進んでいないという。感染の長期化による「コロナ慣れ」や自粛疲れもあろう。国民に対策を求めながら、先月は首相自身が大人数のステーキ会食に参加し、批判された。政府の対応や説明がちぐはぐなこともあり、医療現場が訴える危機感が、国民のもとまで十分に届いていない。

 菅政権は感染防止と経済活動の両立を掲げてきたが、医療崩壊が現実となっている今、命を守るために感染抑止に全力を挙げる局面だ。しかし、こうした現状を国民に丁寧に伝えようとする姿勢が首相からは感じられない。13日の首相の記者会見も約40分で次の予定があるとして、記者の質問を打ち切った。

 人出が減らないままでは1カ月後の宣言解除は難しいとの指摘が既に専門家から出ている。現状では飲食店への時短要請が対策の柱だが、効果がなければ、対策の強化が避けられない。

 大都市部のみならず、地方での感染拡大も止まらず、今後、緊急事態宣言の対象地域はさらに広がる可能性がある。今回、対象とならなかった地域も警戒を強めたい。

 1週間の感染者数が人口10万人当たり25人以上だと、最も深刻なステージ4(爆発的感染拡大)の水準に入る。政府の諮問委員会に示された資料によると、今月11日までの1週間で岡山県は20・42人、広島県は19・29人などとなっている。感染を広げないよう、一人一人があらためて気を引き締めなければならない。

(2021年01月15日 08時00分 更新)

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