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先人も祈った感染症収束 倉敷で二つの企画展

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、岡山県倉敷市美観地区の二つの展示施設で、かつて流行した伝染病と当時の人々との関わり方を示した資料の展覧会が開かれている。感染予防を呼び掛ける布告や疫病退散を祈った宗教施設の写真のほか、歌舞伎やレコードといった娯楽に反映された流行病も示されており、未知の病への不安を乗り越えようとした先人たちの営みがうかがえる。両施設とも31日まで。

■コレラ退治のオオカミ像


 倉敷考古館(同市中央)で開かれているのは、流行病に御利益があると伝わる木野山神社(高梁市津川町今津)をテーマにしたパネル展「キノヤマサマとオオカミたち」。
木野山神社の分社に奉納されたオオカミ像などの写真が展示されている倉敷考古館
木野山神社の分社に奉納されたオオカミ像などの写真が展示されている倉敷考古館

 同神社の祭神はオオカミ。明治初期に流行したコレラは、当時、致死率が高く「虎列刺」など「虎」が当て字に使われ、恐れられていた。オオカミはトラより強いとされたため、「木野山様」信仰が盛り上がり、県内外に分社が建立された。今回は県内8カ所に奉納されるなどしたオオカミ像の写真10枚をA2サイズで展覧している。

 オオカミ像は精かんなだけでなく、どこかキツネやトカゲのような顔つきだったり、備前焼や里庄町伝統の大原焼など地域に根差した工芸で作られたりしており、信仰が広範囲に及んでいたことを感じられる。

 同考古館などが調査した県内外80カ所の分社の位置を示した地図もあり、来館者が興味深そうに見入っている。研修旅行で訪れた静岡県立高2年の男子(17)は「不安な時、何かに祈りたくなる気持ちは今も昔も変わらない。人間の本質が見えてくる」と話した。

 同神社の札に描かれたオオカミがデザインされた缶バッジの制作体験(200円)もできる。午前9時~午後5時。月、火曜は休館(11日は開館)。問い合わせは同館(086―422―1542)。

■魔よけの絵巻


 「桃太郎のからくり博物館」(同市本町)は「疫病退散! あの手この手」と題した企画展を開催。住宅正人館長が収集した骨とう品など約20点を並べている。
桃太郎のからくり博物館に展示されている鬼神・鍾馗が描かれた絵巻
桃太郎のからくり博物館に展示されている鬼神・鍾馗が描かれた絵巻

 魔よけとなる中国の鬼神・鍾馗(しょうき)を描いた明治初期の絵巻は、マラリアにかかった唐の玄宗皇帝の夢に鍾馗が現れ、鬼を退治すると病が治ったという故事が題材。歌舞伎などで親しまれる悲恋物語「お染久松」の和本は、1890(明治23)年ごろにまん延した新型インフルエンザが、久松に恋い焦がれるお染に例えられ「お染風邪」とちまたで呼ばれたことから出展されている。

 天然痘によるあばたが歌詞に入った熊本民謡「おてもやん」のレコード、79(明治12)年に岡山県がコレラ感染防止のために出した布告などもある。住宅館長は「感染症が人々の心に与えた影響と、その不安をいかに生き抜いたか知ってほしい」と呼び掛ける。

 午前10時~午後5時。問い合わせは同博物館(086―423―2008)。

(2021年01月08日 10時45分 更新)

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