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造成地から国重文と“兄弟瓦” 真備・箭田廃寺の出土品と同笵

浦上さんが寄贈した鬼瓦(左)と国重文の箭田廃寺出土「蓮華文鬼瓦」(倉敷市・吉備寺所蔵)
浦上さんが寄贈した鬼瓦(左)と国重文の箭田廃寺出土「蓮華文鬼瓦」(倉敷市・吉備寺所蔵)
浦上宏さん
浦上宏さん
 20年前に岡山市の造成地で見つかった鬼瓦が、古代寺院・箭田廃寺(倉敷市真備町箭田)出土の国重要文化財「蓮華(れんげ)文鬼瓦」と同じ木型から作られたもの(同笵=どうはん)であることが、3日までに分かった。保管していた郷土史家が、岡山県立博物館に寄贈。同館が管理する国重文の瓦と比較して判明した。

 白鳳時代(7世紀後半)の鬼瓦は県内で数点しか出土しておらず、同笵の確認は初めて。国重文の瓦より先に作られたとみられ、同館は「貴重な“兄弟瓦”で、初期の瓦生産のあり方を知る手掛かりとなる」としている。

 寄贈の鬼瓦は2000年、岡山市東区中尾の宅地造成中に出土したという。工事関係者から託された郷土史家浦上宏さん(91)=瀬戸内市=が、自宅で保管してきた。浦上さんは以前から博物館への譲渡を考えており、知人を通じて昨年10月、同館に贈った。

 瓦は板状で鬼板とも呼ばれ、縦32・5センチ、横31・5センチ、厚さ3センチ。箭田廃寺の瓦と同様、白鳳時代に備中地域だけで使われた「吉備式」と呼ばれる華美な蓮華文を持つ。花弁の形など細部までデザインが一致し、同笵と確認された。一方で寄贈品は底部にえぐりがなく、背面も箭田廃寺の瓦は設置時に安定させるための突起を持つが、寄贈品にはない。

 こうした違いについて、同館の宇垣匡雅学芸員は「寄贈品が先に作られ、後に設置しやすいよう改良を加えて作られたのが箭田廃寺の瓦だろう」と推測する。

 吉備式の瓦は備中地域で集中して製作・使用されており、備前地域で見つかったのは初めて。また出土地は過去に岡山市教委が発掘調査をしているが、寺院跡などは確認されていない。備中で作られた鬼瓦がなぜ1点だけ備前に持ち込まれ、何に使われたのかなど寄贈品を巡る謎も多い。「寺院や瓦は当時の社会では最先端文化で、鬼瓦自体を信仰の対象として使用していた可能性もある」と宇垣学芸員。

 浦上さんは「箭田廃寺の瓦に似ているとは思っていたが、同笵だと聞き驚いた。貴重な兄弟瓦をぜひ並べて展示してほしい」と話している。

(2021年01月04日 06時48分 更新)

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