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2020岡山県内十大ニュース

マスクを求め、開店前からドラッグストアに並ぶ人たち=4月7日、岡山市北区駅前町
マスクを求め、開店前からドラッグストアに並ぶ人たち=4月7日、岡山市北区駅前町
マスクを着用し、間仕切りを設置して6月に行われたハローズの入社式=早島町早島
マスクを着用し、間仕切りを設置して6月に行われたハローズの入社式=早島町早島
鳥インフルエンザの発生養鶏場で始まった殺処分=12月11日、美作市(岡山県提供)
鳥インフルエンザの発生養鶏場で始まった殺処分=12月11日、美作市(岡山県提供)
新来島どっくの傘下に入るサノヤス造船の水島製造所=倉敷市児島塩生
新来島どっくの傘下に入るサノヤス造船の水島製造所=倉敷市児島塩生
陸上の日本選手権女子1万メートルを日本新記録で優勝。東京五輪代表に決まり、笑顔を見せる新谷仁美選手=12月4日、大阪市
陸上の日本選手権女子1万メートルを日本新記録で優勝。東京五輪代表に決まり、笑顔を見せる新谷仁美選手=12月4日、大阪市
刀剣ファンでにぎわった山鳥毛の特別陳列=9月10日、備前長船刀剣博物館
刀剣ファンでにぎわった山鳥毛の特別陳列=9月10日、備前長船刀剣博物館
連続猛暑日の国内観測史上1位の記録を塗り替えた高梁市。市内を走る国道180号では路面に水があるように見える現象「逃げ水」が起きた=8月31日
連続猛暑日の国内観測史上1位の記録を塗り替えた高梁市。市内を走る国道180号では路面に水があるように見える現象「逃げ水」が起きた=8月31日
3選を果たし、万歳する伊原木氏(中央)=10月25日、岡山市
3選を果たし、万歳する伊原木氏(中央)=10月25日、岡山市
文化功労者の顕彰式で記念撮影に臨む高橋秀さん(前列中央)。向かって左は妻の藤田桜さん=11月4日、東京都内
文化功労者の顕彰式で記念撮影に臨む高橋秀さん(前列中央)。向かって左は妻の藤田桜さん=11月4日、東京都内
名人戦A級順位戦第1局で初手を指す菅井八段(左)と羽生九段=6月8日、東京・将棋会館
名人戦A級順位戦第1局で初手を指す菅井八段(左)と羽生九段=6月8日、東京・将棋会館
 新型コロナウイルスの感染拡大で生活様式が大きく変わった2020年。県内でも感染者が千人を超え、政治、経済、教育などあらゆる分野に影響が及んだ。15年以来となる鳥インフルエンザウイルスの検出も関係者に衝撃を与えた。一方、陸上の新谷仁美選手(総社市出身)が日本選手権女子1万メートルで圧巻の勝利を収め、東京五輪への切符をつかんだ明るい話題もあった。山陽新聞社が選定した県内十大ニュースで1年を振り返る。

「回顧2020」はこちら

【1】岡山でもコロナ猛威

 世界各地で猛威を振るう新型コロナウイルスが、県内に暗い影を落とし続けた。

 県内で初めての感染者が確認されたのは3月22日。以降、春と夏の流行を経て、現在は「第3波」が押し寄せている。28日現在の累計感染者数は1284人に上り、死者は14人を数える。

 県民の生活は大きく混乱した。

 政府の要請を受け、大半の小中高校が3月2日から春休みにかけて臨時休校。夏休みは短縮され、修学旅行も取りやめに。マスクや消毒液が店頭から消え、入荷情報が流れたドラッグストアに人々が長い列を作った。

 4月には新型コロナ特措法に基づく緊急事態が宣言され、県も外出自粛を要請。イベントはことごとく中止や延期となり、臨時休業を余儀なくされた商業施設や観光地は大きな打撃を受けた。

 12月に入り、クラスター(感染者集団)の続発などで感染が急拡大している県内。医療現場は疲弊の度合いを増しており、県は「医療非常事態」を宣言し、県民に慎重な行動を呼び掛けている。「我慢の日常」はしばらく続きそうだ。

【2】新しい様式広がる 生活一変、感染対策特需も

 コロナ禍で人々の生活様式は一変し、企業も対応を迫られた。

 くしゃみや会話による飛沫(ひまつ)感染を防ぐため、マスク着用が当たり前になり、店のレジやテーブルに間仕切りが並んだ。ソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保が求められ、式典やイベント、会合は参加者を減らし、間隔を空けて座るといった対策が必須に。建物や部屋の出入り口で消毒や検温が始まった。

 感染対策需要に着目した動きも見られた。ジーンズ産地の倉敷市児島地区や井原市では、アパレルメーカーがデニム生地などでマスクを生産。消毒用アルコールをつくる酒蔵もあった。

 外出自粛や3密(密閉、密集、密接)回避の要請で行動は制限され、観光地から人影が減った一方、「巣ごもり消費」でゲームなどが売れた。飲食店ではテークアウトや宅配サービスが広がった。

 働き方も大きく変化した。自宅など社外で働く「テレワーク」の導入が進み、会議や商談はパソコンやスマートフォンのアプリを使ったオンライン方式が浸透した。

【3】美作で鳥インフル64万羽処分

 美作市滝宮の養鶏場で12月10日、死んだ鶏からA型鳥インフルエンザのウイルスが検出された。遺伝子検査の結果、高病原性が疑われるH5亜型と判明。単一農場では国内最多となる約64万羽が処分された。

 県内で鳥インフルの発生は2007年の高梁市、15年の笠岡市に続く3例目。今年は11月に隣の香川で国内3年ぶりに確認され、県も警戒を強めていただけに衝撃が走った。

 県は直ちに殺処分を始め、自衛隊の応援も受け1日延べ800人、24時間態勢で作業を進めた。丸3日間かけて終えると、鶏舎の消毒など防疫措置に入り、発生から1週間後の17日に全て完了した。

 このまま異常がなければ、来年1月上旬に鶏などの移動制限が解除される。ただ感染経路は分かっておらず、県は引き続き、各農場に衛生管理や消毒などの指導を徹底する。

【4】事業再編相次ぐ 造船事業縮小や工場閉鎖

 県内の製造業には事業再編の波が押し寄せた。

 三井E&Sホールディングス(東京)は、中核の玉野事業所(玉野市玉)の事業縮小を打ち出した。6月12日、防衛省向け艦艇事業を三菱重工業(東京)に譲渡する協議を始めたと発表。8月5日には、商船の建造を2022年度末までに終え、提携先に委託するとした。

 倉敷市児島塩生に主力工場を持つサノヤス造船(大阪)は11月9日、来春に新来島どっく(東京)の傘下に入ると表明した。三井、サノヤスとも海外勢との競合で収益が悪化。コロナ禍で受注も滞り、生き残るための決断を迫られた。

 パナソニック(大阪)も10月1日、ビデオカメラなどの岡山工場(岡山市東区東平島)を来年9月末で閉鎖すると発表した。近年は生産品目が海外に移管され、稼働が落ちていた。

【5】陸上女子1万メートル新谷が日本新で東京五輪代表に 自転車BMX長迫、大池も

 復活を告げるタイムは衝撃的だった。12月4日、陸上の日本選手権女子1万メートルで総社市出身の新谷仁美選手(32)=積水化学=が日本記録を18年ぶりに30秒近くも塗り替える30分20秒44をマーク。3位以下を周回遅れにして圧勝し、2大会ぶりの五輪代表を決めた。

 2014年1月、故障を理由に25歳で引退した新谷選手は、会社務めを経て18年6月に実戦復帰。短期間で一線級に返り咲き、その走りは進化を続けている。新記録は今年の世界2位に相当。岡山の伝説的ランナー、人見絹枝(1907~31年)以来となる日本女子トラック種目の五輪メダルへ期待が高まる。

 6月には自転車BMXで県勢が五輪代表入り。レース男子で笠岡市出身の長迫吉拓選手(27)=日本写真判定=が2大会連続、フリースタイル・パーク女子の大池水杜選手(24)=ビザビ=が初選出された。

【6】瀬戸内市が山鳥毛購入

 国宝「太刀 無銘一文字(山鳥毛=さんちょうもう)」の購入に向け、瀬戸内市がふるさと納税などで募っていた寄付金が1月24日、目標の5億1309万円に到達した。

 山鳥毛は鎌倉時代中期の名刀で、備前刀を代表する流派の一つ「福岡一文字派」の最高傑作とされる。山鳥の羽毛を思わせる変化に富んだ刃文が特徴だ。市は2018年4月に寄付金による購入を表明して以降、2度の募集期間延長を経て約1年3カ月で資金を調達した。

 9月10日~10月4日には備前長船刀剣博物館(同市長船町長船)で購入後初の特別陳列を開催。コロナ禍にもかかわらず、初日で事前予約が埋まるほどの盛況ぶりだった。

 次回の展示は来夏以降。市は刀剣関係の史跡を巡るマップ作りやガイド育成にも取り組む方針で“日本刀の聖地”として存在感アップを目指す。

【7】暑い夏 高梁市で連続猛暑日の日本記録

 今年の夏は暑かった―。盆地という地形から夏場に気温が上昇しやすい高梁市。8月9日から9月1日まで24日連続で猛暑日(35度以上)となり、国内観測史上1位の記録を塗り替えた。8月21日の最高気温は39・3度。県内の最高気温に並んだ。

 岡山地方気象台によると、太平洋高気圧とチベット高気圧が重なり合ったのが主な要因。まとまった雨も降らず気温が下がりにくかったという。

 酷暑は県民の健康にも影響。県内で8月、熱中症とみられる症状で救急搬送されたのは831人。前年同月より約3割も多かった。

【8】知事選で伊原木氏3選

 県のリーダーを選ぶ知事選が10月25日に投開票され、無所属現職の伊原木隆太氏が無所属新人の森脇久紀氏との一騎打ちを大差で制し、3選を果たした。

 コロナ渦とあって、両陣営とも大規模集会を見送り、屋内の演説会は自粛するなど異例の選挙戦となった。その中で、伊原木氏は教育再生と産業振興を柱とした2期8年の実績を訴え、45万票余りを獲得した。運動の制約もあってか関心は高まらず、投票率は33・68%で過去最低を更新した。

 難局に直面する県のかじ取りを任された伊原木氏。これまで以上に手腕が問われる。

【9】美術家高橋秀さん文化功労者に

 40年余り制作の拠点にしたイタリア・ローマから2004年に帰国、倉敷市に自宅アトリエを構える美術家高橋秀さん(90)が10月、県内在住者としては3人目となる文化功労者に選ばれた。

 昨年も妻で布貼り絵作家の藤田桜さん(95)との二人展が全国4美術館を巡回するなど長年アート界の第一線で活躍。一方、私財を投じて若手に留学資金を贈る「秀桜基金留学賞」を設立し、海外暮らしの経験を生かした後進の育成支援、地域文化の振興に尽力してきたことが評価された。コロナ禍の閉そく感を破る慶事に、地元文化界は沸いた。

【10】菅井竜也八段A級入り

 将棋の菅井竜也八段(28)=岡山市=が、県出身者としては25年ぶりに、トップリーグの名人戦順位戦A級に昇級した。

 A級を最上位に計5クラスある名人戦順位戦。菅井八段は3月までの前期、1ランク下位のB級1組を、11勝1敗の圧倒的な成績で制して昇級を決めた。

 最高峰で戦えるのは、160人余りの棋士の中でも10人のみ。6月に始まった今期、豊島将之竜王(叡王)、羽生善治九段ら棋界の“顔”としのぎを削り、渡辺明名人への挑戦を目指す。

 17歳でのプロ入りから10年。一流棋士の仲間入りを果たした。

(2020年12月29日 05時00分 更新)

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