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人生の再出発支える「ケンタ」 更生保護施設に仲間入りの保護犬

入所者の心を癒やしているケンタ
入所者の心を癒やしているケンタ
 玄関から入って正面奥のギャラリーと呼ばれる場所にケンタの部屋はある。ソファの横に置かれた小屋の中で寝っ転がったり、大きな窓から差し込む日差しの下で気持ちよさそうに目をつむったりして過ごしている。ケンタは推定5歳のミックス犬だ。

 ここは更生保護法人「備作恵済会古松園」(岡山市北区鹿田本町)。さまざまな罪を犯してしまった20~60代の18人が現在、社会復帰を目指して暮らしている。家族から関係を絶たれ、頼る先のない人たちが就労し、半年後に自立した生活が送れるよう指導を受けて過ごす。

 ケンタも帰る場所はない。岡山県動物愛護センター(同御津伊田)に迷い犬として収容された後、犬猫の殺処分をなくすために活動するボランティア団体に保護されていた。ケンタが園に来たのは昨年夏のことだ。団体の譲渡会で職員が見つけ、2週間のトライアルを経て仲間入りした。

 ケンタは、おとなしくて人なつこい上に、教えられたことは、すぐ覚えるなど学習能力が高く、入所者にも問題なく受け入れられた。正式なセラピードッグではないが、一緒に散歩に出掛けたり、仕事から帰ってきて触れ合ったりするだけで「入所者の癒やしにつながっている」と岩戸顕施設長(75)は話す。

 入所者は生き物のぬくもりを通して命の大切さを学ぶことができ、ケンタにとっても、人と協力する大切さや人に優しくされる喜びを感じられているようだ。

 園には、京都の寺の住職が記したとされる言葉が額に納められていた。

 「今こそ出発点」

 入所者もケンタも、ここは再出発の場所だ。

(2020年12月29日 10時34分 更新)

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