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五輪内定の新谷、圧巻の復活劇 古里岡山の恩師らも感嘆

陸上の日本選手権女子1万メートルで日本新記録をマークして優勝し、感極まった表情の新谷仁美=ヤンマースタジアム長居
陸上の日本選手権女子1万メートルで日本新記録をマークして優勝し、感極まった表情の新谷仁美=ヤンマースタジアム長居
 東京五輪の代表選考会を兼ねた陸上の日本選手権長距離種目は4日、大阪市のヤンマースタジアム長居で行われ、女子1万メートルは総社市出身の新谷仁美(32)=積水化学、興譲館高出=が日本記録を18年ぶりに更新する30分20秒44で7年ぶり2度目の優勝を飾り、2大会ぶりの五輪代表に内定した。

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 前例のない復活劇は4日、大きな節目を迎えた。引退、復帰を経て2大会ぶりの五輪代表に返り咲いた陸上女子1万メートルの新谷。古里岡山の恩師やチームメートを感嘆させる日本新記録で偉業に花を添えた。

 異次元の走りだった。大阪市・ヤンマースタジアム長居で開催された日本選手権。レース前の新谷の不安そうな表情は号砲と同時に消えうせた。序盤から独走し、日本記録を18年ぶりに更新しての優勝。興譲館高時代の監督で才能を見いだした森政芳寿さん(63)=現銀河学院中・高総監督=はテレビ越しに見守り、「彼女らしいレース。精神的にも角が取れたのだろう。本当の意味で強くなった」。

 故障を理由に突然の引退を表明したのは2014年1月。五輪、世界選手権を経験し、これからという25歳だった。中学、高校で1学年下の森本(旧姓・片岡)皓子さん(32)=福山市=は会社員に転身した新谷との再会を思い起こし「陸上の話はあえてしなかった。走るのが嫌いだと言っていたけど、走っているのが先輩らしい」と勇姿を目に焼き付けた。

 18年6月、実戦復帰した際、「惨めな思いをしたらと正直、心配だった」と明かすのは総社東中でランナーとしての素地をつくった寺坂陽介さん(64)=倉敷市。4年ものブランクがありながら、30代で再び世界を目指す異例の挑戦はしかし、成就した。「中学の時は野生児。それからアスリートの顔になり、復帰してからは極めたような、悟ったような雰囲気さえある」

 走ることは仕事―。新谷は新型コロナウイルス禍でプロフェッショナルのあり方を以前より考えるようになったという。「アスリートとして、パフォーマーとして、人として、最高のものを見せていきたい」。人々を驚かせる“新谷劇場”はこれからも続く。

(2020年12月04日 22時34分 更新)

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