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造山古墳 墳丘復元へデータそろう 岡山市教委、発掘調査が大詰め

造山古墳のテラス部から出土した埴輪列(中央)と1段目斜面の葺石(手前)
造山古墳のテラス部から出土した埴輪列(中央)と1段目斜面の葺石(手前)
造山古墳 墳丘復元へデータそろう 岡山市教委、発掘調査が大詰め
造山古墳 墳丘復元へデータそろう 岡山市教委、発掘調査が大詰め
 岡山市教委が全国第4位の規模を誇る前方後円墳・造山古墳(国史跡、同市北区新庄下)で進める本年度の発掘調査が大詰めを迎えている。今回は、墳丘から初めて埴輪(はにわ)列が見つかったほか、3段築造の各斜面を覆う葺石(ふきいし)も出土した。墳丘を形成する主要な施設が確認できたことで、同市教委は最終目標である、築造時の姿に古墳を復元整備するための「極めて重要な基礎データが得られた」と評価している。29日には発掘現場を一般公開する。

 首長の権威を「見せる」役割があったとされる前方後円墳にとって、墳丘と外界を区画する埴輪列は、被葬者の格を示す欠かせない施設といえる。全長350メートルもあり、埴輪片が多く出土している造山古墳でも当然存在が予想されており、「今回は墳丘内に踏み込む初の調査なだけに、もし確認できなかったらと相当な重圧を感じていた」。担当する寒川史也文化財課主任は胸をなでおろす。

 見つかった埴輪列は1、2段目のテラス部(平たん面)に各1カ所。直径30センチ台の円筒埴輪とみられる底部が、1段目は5本、2段目は4本出土した。いずれも墳形に沿って並んでおり「墳丘全体を巡っている可能性が高い」と寒川主任。畿内の大王墓に匹敵する、造山の格の高さが改めて裏付けられた。

 各段の斜面を覆っていた葺石の出土も大きな意味を持つという。墳丘の傾斜角が導き出せるとともに、葺石の端部から、埴輪列が並ぶテラス面の幅なども確定できるためだ。

 2016年度に始まった造山の発掘調査は、これまで周縁部に限って実施し、古墳の範囲の特定を進めてきた。今回、初めて墳丘内部に踏み込んだきっかけは、18年の西日本豪雨。墳丘の2カ所で大規模な崩落が発生し「保護の観点からも、速やかな内部の調査が必要」(市教委)と判断したためだ。

 今回発掘した後円部西北側も、過去に崩落した跡が見て取れ、最初に復元整備に着手する候補箇所だという。そうした地点で築造当初の姿を確認できた成果は大きく、草原孝典文化財課長は「復元に必要な傾斜角度やテラス面のデータはすべてそろった」と胸を張る。

 前方後円墳の築造規格は各地で共通する部分が多く、全国の研究者も造山の成果に注目する。造山古墳保存整備委員会メンバーの白石太一郎・大阪府立近つ飛鳥博物館名誉館長は「今回得られた埴輪列の配列や傾斜の角度などを、他地域の大型古墳の発掘例などと照らし合わせることで、畿内の大王墓を含めた新たな研究の進展が期待できる」と話している。

 発掘現場の公開は午前10時~午後3時。雨天決行。問い合わせは市教委文化財課(086―803―1611)。

(2020年11月25日 22時48分 更新)

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