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県南河口域に大量のプラ肥料殻 水田などから流出か 海にも広がる

流木などとともに粒状のプラスチック肥料殻がプびっしりと漂着している四番川河口の護岸=岡山市中区沖元
流木などとともに粒状のプラスチック肥料殻がプびっしりと漂着している四番川河口の護岸=岡山市中区沖元
 岡山県南部の河口域一帯に、農業用肥料のプラスチック殻が大量に蓄積していることが確認された。一般に普及している肥料で、水田などから川に流出したとみられ、海にも広がっている。肥料殻の害についてこれまであまり知られておらず、国は本年度、実態把握に乗り出した。環境汚染が世界的に問題視されるプラスチックごみの隠れた課題として対策が求められる。

 肥料殻が特に蓄積しているのが、岡山市中区沖元の四番川河口沿い。護岸の石積みの間などの延長300メートルほどに、殻がびっしりと漂着している。深いところでは5センチを超える。

 殻の直径は3~5ミリほど。色が主に茶系統で、木の実などにも見えてプラスチックだと分かりにくい。肥料がしみ出す小さな穴が殻に空いているのが特徴だ。

 山陽新聞社が採取して岡山大大学院環境生命科学研究科の木村邦生教授と新史紀助教(高分子化学)に分析を依頼し、ポリエチレン系のプラスチックと確認された。「海中で分解に非常に長い時間を要するので、海洋に流れ出ることは環境上好ましくない」と指摘する。もともと小さく、有害物質を吸着するなど環境への悪影響が懸念されるマイクロプラスチック(直径5ミリ以下)の状態にある。

 肥料殻の蓄積がどこまで広がっているかは、岡山県なども調べておらず不明だ。ただ、吉井、旭、高梁の3大河川の河口付近など広範囲にわたる。海岸でも見られ、海にもかなり流れ出ていると推測される。

 プラスチック殻の肥料の使用は全国の水田面積の6割にも及ぶ。防止措置をしなければ排水などで水田から川に出てしまう。農水省が昨年6月に流出防止を自治体などへ通知もしたが、肥料殻がプラスチックだと知らない農家も多い。同省生産局は「本年度、来年度と水田からの流出などの調査を行い実態を把握した上で、対策を徹底したい」としている。

 プラスチック殻の肥料 1970年代から登場し、さまざまなタイプを多くの肥料メーカーが生産している。肥料成分が一粒一粒プラスチック殻で覆われ、「被覆肥料」とも呼ばれる。「一発肥料」といった名称も使われ、効果が長持ちして田畑での施肥作業を軽減することなどから広く普及している。

(2020年11月24日 20時31分 更新)

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