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サノヤスHD、造船事業撤退へ  業績悪化で新来島どっくに譲渡

新来島どっくの傘下に入るサノヤス造船の主力拠点・水島製造所
新来島どっくの傘下に入るサノヤス造船の主力拠点・水島製造所
 造船中堅のサノヤスホールディングス(HD、大阪)は9日、倉敷市に主力工場を持つ中核子会社・サノヤス造船(大阪)の全株式を、同業中堅の新来島どっく(東京)に譲渡する契約を結んだと発表した。中国、韓国勢との競合で業績が悪化していた上、新型コロナウイルスによる市況の悪化が追い打ちをかけた。同HDは造船事業から撤退する。

 来年1月15日の臨時株主総会を経て正式決定する。サノヤス造船は同3月1日から「新来島サノヤス造船」に社名が変わる。本社の所在地は今後詰める。譲渡額は100万円。

 主力の水島製造所(倉敷市児島塩生)の従業員は社員約480人、協力会社約350人。同HDは「雇用は原則維持される。協力会社への発注も現状維持を要望している」と説明。水島では採算性の良いガスタンク製造や船舶の修繕事業に乗り出す準備を進めており、その方向性も維持される見通しという。

 同HDは遊園地施設関連などの事業を継続する。大阪市内で記者会見した上田孝社長は「回復の兆しが全く見えない事業をこれ以上継続することは当社の財務体力上、困難だ。価格競争が非常に熾烈(しれつ)で、利益が出ない体質になっている」と述べた。

 新来島どっくは「水島は同じ瀬戸内地域で生産協力しやすく、技術や設計の面で見習うべき点もある。スケールメリットを生かし、今回の不況を乗り越えたい」としている。

 1911年創業のサノヤス造船は、ばら積み貨物船が主力。2工場のうち水島製造所で建造、大阪製造所(大阪)で修繕を主に手掛ける。造船事業の2020年3月期の売上高は299億円、本業のもうけを示す営業損益は27億円の赤字(前年は3億円の黒字)だった。

 水島製造所は74年操業。ピークの06~13年は年12隻ペースで商船を建造していたが、中韓メーカーとの競合で船価が低迷し、近年は7、8隻。受注残は目標の2年半分に対し、20年3月期は1年半分ほどにとどまる。さらに新型コロナウイルスの影響で海運市況が悪化して商談がストップ。今夏には全社員を対象に初の一時帰休を行い、建造ペースを緩めていた。

 新来島どっくは1902年創業、連結売上高974億円(20年3月期)、単体従業員840人。造船所は主力の愛媛県今治市や東広島市など国内5カ所。自動車運搬船や化学製品タンカーを得意とする。

(2020年11月09日 19時27分 更新)

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