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コメ農家に厳しい秋…岡山県内 トビイロウンカ被害とコロナ禍

トビイロウンカによりイネが枯れる「坪枯れ」が発生した田=岡山市東区
トビイロウンカによりイネが枯れる「坪枯れ」が発生した田=岡山市東区
 岡山県内のコメ農家に、今年は厳しい秋が訪れている。イネに寄生するトビイロウンカの被害が広がり、収穫の最盛期を迎えた県南部では、まとまって枯れる「坪枯れ」が目につく。新型コロナウイルス感染症に伴う外食需要の低迷で新米相場も低調。収穫減と価格低下の二重苦を強いられそうだ。

 「あちこちで坪枯れになっている。農業を始めて15年、こんなことはなかった」。黄金色の田にできた茶色のくぼみに、農業法人・一所懸命農園(岡山市東区百枝月)の岩本英隆社長がため息をつく。

 異変が現れたのは10月に入ってから。農薬散布など対応策はあるものの、30ヘクタール全体にまくと1回100万円ほどかかる。岩本社長は「生産コストを考えると、そう何度もできない。おくて品種の収穫はまだ先。被害が出た周辺に部分散布しつつ、新たに発生しないことを願うばかり」と言う。

 トビイロウンカは梅雨期に中国大陸から飛来し、イネの養分を吸って繁殖していく。今年は長梅雨や高気温など増えやすい環境がそろったとみられ、県は8月19日、33年ぶりとなる全県域での病害虫発生予察警報を発令。県病害虫防除所(赤磐市神田沖)が9月下旬に県内35地点で行った調査では、発生率が平年の17・4%を大きく上回る88・6%に達した。同所は「県中北部に多いわせ品種は被害が広がる前の『刈り逃げ』ができたケースもあるが、収穫期の遅いなかてやおくてで被害が深刻化している」とする。

 一方で、国が発表した9月15日時点の全国の作況指数(平年=100)は101、岡山県はトビイロウンカの被害拡大前で100。生産量上位の新潟県や北海道が豊作で、全国的に見れば増収となる見通しだ。

 コロナ禍による外食需要の低迷により、民間在庫は前年同月を上回る「コメ余り」が続いている。岡山県内の流通関係者は「県産新米の取引価格は前年より5~10%ほど安値で動くのでは」と推測する。

 岩本社長は「外食産業が回らないと消費は増えない。この状況が続くと、コメを作りにくくなっていく」と窮状を訴える。

(2020年10月19日 20時14分 更新)

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