山陽新聞デジタル|さんデジ

高校生の就活 地域の次代、手厚い支援を

 来春卒業予定で就職を希望する高校生に対する企業の採用選考が16日、全国で解禁された。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休校で就活の準備に支障が出たことを踏まえ、政府が解禁を当初予定より1カ月遅らせていた。

 それでも準備が十分でなかったり、不安を募らせたりしている生徒もいるだろう。学校や家庭、企業、自治体、経済団体などで力を合わせ、手厚く支援してもらいたい。

 高校生は学校推薦で応募することが多く、採用の早期化を防ぐため、政府が経済、学校団体と協議し、選考日程を統一している。多くの都道府県で最初に受ける企業は1人1社に限られ、半月~1カ月半後から複数に応募できる。日程が遅れた結果、2次募集まで就活が続くと、内定が年明けになることも多かろう。

 来春卒業予定の大学生の就職内定率は、就職情報会社リクルートキャリアによると今月1日時点で88・7%と、前年同月を5・1ポイント下回った。コロナ禍による経済活動の停滞で高校生の就活も厳しい。

 7月末時点の求人倍率は前年同期より0・44ポイント低い2・08倍で、10年ぶりに低下した。岡山県内は1・59倍で、0・29ポイント下回った。産業別では、宿泊・飲食サービスは求人が半分以下になったほか、求人数の多い製造、卸・小売りも3割近く減った。

 進路を進学に切り替えた生徒もいよう。就職希望者は前年より1割近く減った。生徒にすれば「どうして自分たちの年に」との思いは拭えまい。当然だ。ただ、冷静に状況を見極める必要はある。

 県内の求人倍率は0・60倍まで下がったリーマン・ショック後や、それ以前の就職氷河期と比べれば高い水準にある。「生徒の希望に応えるには十分な求人数」と言う高校の進路指導担当者もいる。

 企業側でも、例えばENEOS(旧JXTGエネルギー)水島製油所(倉敷市)は「世代交代は確実に進めたい」と昨年並みの44人の採用を予定しているという。この機会に積極採用を考える企業はないか。生徒は視野を少し広げて、研究してほしい。

 そのために学校はしっかり相談に応じ、生徒を支えねばならない。国や自治体も適切な情報提供はもちろん、確実な採用を経済団体などを通じて働き掛けるべきだ。

 求人倍率は地域で差が大きく、東京や大阪で高いが、次代を担う若者が働き口を得られず流出すれば地域の活力は低下する。企業は地域貢献のためにも長い目で安定的な採用に努めてもらいたい。

 もう一つ、忘れてならないのは、4割近くで高止まりが続く入社3年以内の早期離職率である。

 働き方が多様化しているとはいえ、最初の就職の選択はやはり、その後の人生に大きな影響を与えよう。生徒と企業のミスマッチを防ぐためにも、産学官で連携を深めサポートすることが欠かせない。

(2020年10月19日 08時00分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ