山陽新聞デジタル|さんデジ

エネルギー計画 再生エネ拡大へ踏み込め

 国の中長期的なエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」について、経済産業省が見直しに向けた議論に着手した。2030年度の電源構成の目標に、太陽光や風力など再生可能エネルギーの拡大をどの程度反映させ、原発を含めた発電割合をどう修正するかが焦点となる。

 大規模な災害を引き起こす気候変動への危機感が高まり、地球温暖化対策として「脱炭素」の動きが欧州を中心に国際社会で強まっている。二酸化炭素(CO2)を出さず環境に優しい再生エネを最大限活用し、主力電源として機能するよう意欲的な目標に見直すことが求められる。

 エネルギー基本計画は3年ごとに内容を検討し、必要に応じて改定してきた。18年7月に閣議決定した現行計画では、30年度の電源構成を石炭や液化天然ガス(LNG)など火力56%程度、再生エネ22~24%程度、原発20~22%程度と設定している。

 見直しでポイントとなるのは、再生エネをいかに拡大させるかだ。国は12年、東京電力福島第1原発事故を契機に、再生エネによる電気を電力会社が一定期間買い取る固定価格買い取り制度を始めた。18年度の再生エネ比率は16・9%に上り、10年度に比べほぼ倍増した。とはいえ、脱炭素で先行する欧州各国は30%前後に上っており、日本の立ち遅れは否めない。

 経産省は7月、再生エネの主力電源化に向け、本格的な検討を始めている。その鍵となるのが洋上風力だ。梶山弘志経産相は、当面10年間は年100万キロワット程度の導入を目安とする考えを示している。事業者への支援など導入拡大のための手だてを講じることが必要だ。

 一方、拡大に伴って課題となるのが発電コストの抑制である。固定価格制度による買い取り費用が電気料金に上乗せされており、家庭や企業の負担が増大している。一般家庭の負担額は20年度に月約770円と制度が始まって以降、最大になる見通しだ。再生エネの強化と国民負担とのバランスを考慮した議論を求めたい。

 基本計画の見直しに当たっては、脱原発依存の視点も重要だ。福島第1原発事故後に再稼働した原発は9基しかなく、18年度の発電割合は6・2%にとどまった。原発に対する国民の不信や不安は根強い。実態を踏まえ、将来的に原発比率を下げていく道筋を示すべきだ。

 経済同友会や、全国34の道府県、企業でつくる自然エネルギー協議会は7月、30年に再生エネの比率を40%まで引き上げることを求める提言をそれぞれまとめた。天候に左右されがちな再生エネが主力電源となるには、蓄電池の性能向上や送電線網の拡充なども必要となる。技術開発を促し、設備投資の呼び水となるよう、政府は野心的な目標を掲げ、政策誘導することが欠かせない。

(2020年10月18日 08時00分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ