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星空を撮るのは難しい コンディションや撮影場所を選んで

東空が晴れてきたので慌てて撮影。ISO800で24mm、F2.8で20秒。ぎょしゃ座やおうし座など、冬の星座が昇りはじめた。画面右上にプレアデス星団が見える=岡山市北区祇園
東空が晴れてきたので慌てて撮影。ISO800で24mm、F2.8で20秒。ぎょしゃ座やおうし座など、冬の星座が昇りはじめた。画面右上にプレアデス星団が見える=岡山市北区祇園
百円ショップでも赤色のLEDライトが購入可能。星空撮影には重宝する
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 「星空の写真について書いて下さい」。担当者の方から依頼を受けていました。実は小生、高校時代は天文部でして、星の写真を撮りたくてカメラやレンズに興味を持ち、写真にハマったタイプなのです。たまたま入社した時が、ハレー彗星の地球接近の1985年でした。月食とハレー彗星のコラボがあった晩は、買ったばかりの天体望遠鏡にカメラを取り付け牛窓で撮影、紙面に掲載してもらったこともあります。しかし月日が流れ、今は天体望遠鏡も無くなりました。そんな、小生が「昔とった杵柄(きねづか)」を生かして、星空を撮るぞ! と身構えてみたものの、カメラの進歩は著しく、全く昔の技術は関係ない状態でした!

 で、初心者同然に戻ったからこそ気づいたことをお伝えします。まず、星を撮るつもりなら「星のきれいな場所」へ行った方が絶対に良いです。撮影機材が進歩しても、元々星空がきれいな方がさらにきれいな写真を撮ることができます。と、思って小生も井原市美星町まで行きました。天気予報は晴れ、月も深夜遅くに出てくるので好条件です。月は星空写真には厄介な存在なんです。月が明るすぎ、暗い星をかき消してしまいます。ですから下弦の月から新月、そして三日月くらいまでが撮りやすいでしょう。

 井原市星空公園を目指しました。星空が綺麗な場所は暗い(当たり前か)。何度も行っているなら別ですが、初めて行く場所は日が暮れる前に着いた方が安全です。ネットで星空スポットを検索しましたが、共通点はアクセス道が狭そうだということです。ヘッドライトを消せば真っ暗な状況。幅員も無く、道端は雑草が生い茂ったり、ガードレールの無い道が延々続くことになります。ですから事前に下見に行くか、下でも日没前には着くようにしましよう。

 さて、やっと不安な狭い道を突破して星空公園についたものの曇り。それどころかポツポツ雨が降り始めました! 星空撮影決行の第一歩は釣りで言う「ボウズ」に終わりました。それ以来、なかなか井原市までは行けない日々が続きました。ある方から「岡山市北区の祇園あたりは結構星がきれいですよ」の話を聞きました。我が家から15分くらいです。ここは岡山市なのにホタルが出るような環境ですから、星がきれいなのは納得できます。

 祇園は確かに星はきれいなのですが、小生の行ったときは薄いモヤがかかっていたり、雲が散発的に現れたりしてベストなコンディションではありませんでした。星空撮影は三脚が必須です。カメラの取り付けが暗い場所では苦労します。必ずライトを用意しましょう。できれば両手が空く首かけタイプなどが便利です。ただ、青白いLEDの光は夜の目にはこたえますので、赤色のものを選ぶか、赤いセロハンなどを貼った方が無難です。

 で、何を撮れば良いか? これは決まりはありません。星座が分からなければパッと見、明るい星が多い方にレンズを向けましょう。冬はオリオン座が出ているのでその辺りを狙えば明るい恒星が多く見栄えがします。でも秋は明るい星が少なく、Mの形をしたカシオペア座や、夏の終わりを告げるように西に傾く白鳥座、こと座、わし座でしょうか? 星座アプリが重宝します。ちなみに秋の一等星は、みなみの魚座にあるフォーマルハウトだけ。和名では「みなみの一つ星」、中国では古来「北落師門」と呼ばれ、孤高のイメージがあり好きな星です。

 いよいよ撮影です。まず、感度を設定しましょう。ISO800、1600くらいが良いと思います。あまり上げ過ぎるとノイズ(画面がザラザラ)が出ます。ピントは無限大。オートフォーカスは全く効かないので、マニュアルフォーカスにして無限大に合わせます。レンズはF値が少ないレンズ(高い!)があるとベターですが、とにかく手持ちレンズで一番明るい状態、開放にして使いましょう。星用に安いF1.8などの単焦点レンズを買うのも手です(中国製など1万円台も多い)。

 撮影時間ですが、星空撮影には「500分の1ルール」と言う目安があります。500をレンズの焦点距離(フルサイズ換算)で割った数値が適正な秒数となります。例えば標準レンズは50ミリなので割った数字は10。10秒が星が点で写る限界の撮影秒数になります。それを超えると線状になっていきます。広角レンズだと秒数は増え、28mmなら17秒くらい。ただ、北極星に近い星空は動きが遅いので10秒超えても目立ちません。広角で北なら30秒でも大丈夫な気がします。無難な28mm〜50mmくらいの焦点距離で始めましょう。

 すみません、今回はここまでにします。ほんのさわりを書いただけで紙面がつきました。捲土重来(けんどちょうらい)。今度はさらに星空のきれいなところで撮影して、皆さんにお見せします!

     ◇

蜂谷秀人(はちや ひでと)フリーランスカメラマン。ファジアーノ岡山オフィシャルカメラマン、日本写真家協会会員。1985年、日本大学芸術学部写真学科卒業後、山陽新聞社入社。編集局写真部を皮切りに夕刊編集部、家庭レジャー部記者を経て1995年に独立。1962年岡山市生まれ。

(2020年10月16日 18時09分 更新)

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