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新聞週間 信頼される存在目指して

 日本新聞協会が定める「新聞週間」(15~21日)が始まった。今年の代表標語には「危機のとき 確かな情報 頼れる新聞」が選ばれた。

 作者の甲府市の84歳男性は「新型コロナウイルスの流行で危機感を抱いたが、新聞には深く調査した情報が載っていて安心感があると感じた」と標語に込めた思いを話す。

 新型ウイルスを巡り、インターネット上で不確かな情報が飛び交い、岡山県内の感染者に関するデマや誹謗(ひぼう)中傷も相次いだ。本紙の記者たちは関係先を取材し、情報が事実であるかどうかを確かめ、感染者の思いを伝えようと努めてきた。新聞が正確で信頼に足る情報を提供しなければ、人々の不安は増幅するばかりだ。新聞の使命、責任の重さを再確認させられた。

 コロナ禍を報じるメディアへの信頼度を調べた日本新聞協会の調査では、新聞(紙)が69・5%とトップだった。新聞の電子版とニュースサイトも50%以上と高い評価を得た。ユーチューブなどの動画サイトや会員制交流サイト(SNS)は10%台にとどまった。新聞に寄せられる信頼に応えられるよう、引き続き努力を続けたい。

 コロナ禍という非常事態に考えさせられたのは、膨大な情報が飛び交うネット空間の危うさだ。デマを拡散しないためには、情報をうのみにしないメディアリテラシー(情報を読み解き活用する力)を多くの人が身につけることが欠かせない。ネットは自分の興味・関心があることから優先的に表示され、自分と異なる意見に触れる機会が減る可能性も指摘されている。

 近年、新聞各社が力を入れているのがNIB(ビジネスに新聞を)だ。これまで小中高校などで新聞を教材として活用してきたNIE(教育に新聞を)の取り組みを、大学や企業にも広げている。

 「若い社員が世の中の動きを知らず、顧客との雑談ができない」「SNSの短文に慣れているせいか、長文の報告書が書けない」…。そうした声が岡山県内の企業経営者らからもあり、山陽新聞社は2015年からNIBに取り組んでいる。企業などが一定期間、購読料を負担して社員に新聞を読んでもらう。その上で、新聞社の社員が研修の講師として出向き、新聞の読み方や文章の書き方など、新聞活用術を伝えている。

 昨年は岡山県内26の企業や商工団体、大学などが実施した。研修後には「新聞を読んでみたら営業につながる話題を見つけることができた」「地元にこんな企業があるんだという発見があった」といった感想が寄せられている。

 新聞を読む社会人を増やすことは新聞業界の利益にとどまらず、地域づくりにつながる活動だと確信する。地域の課題を多くの人が共有し、問題解決につながる取り組みを進めるためにも、若い世代が新聞を手に取る機会を増やしていきたい。

(2020年10月16日 08時00分 更新)

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