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<大ヒット盤>高橋真梨子『高橋千秋楽』

 
 
 最後のコンサート・ツアーを機に企画されたほぼ年代順収録のオールタイム・ベスト(ツアーは2021年に延期)。

 DISC-1は、『ジョニィへの伝言』『五番街のマリーへ』などのペドロ&カプリシャスの楽曲から、1980年のソロ楽曲まで収録。歌謡曲とフォーク&ロックを橋渡しするように説得力とリズム感を両立させた歌声が見事だ。

 DISC-2は、『for you…』『桃色吐息』など、様々な作家による幅広い80年代ポップスが楽しめる。

 DISC-3以降は自作詞が大半を占め、自ずと彼女の人生観が投影される。90年代半ばまではラブソングが中心だが、長年の友との絆を歌った98年の『フレンズ』あたりから、言葉の意味がより深くなる。

 DISC-4は、激しい恋を歌ったラテン系の『淡き恋人』や、阿久悠作詞、宇崎竜童作曲の若者への讃歌『目を見て語れ 恋人たちよ』もあるが、もう逢えない人への慕情や、遠き日の想い出、かけがえのない人への出逢い(『ありがとう』は多くの熟年世代が共感しそう)など、彼女の熱い歌声だからこそ、胸に沁み渡る。

 2つの新曲『やさしい夢』と『愛する人へのメッセージ』はまさに終活ソング。前者では若き日々を想いながら、後者では切ない痛みを抱きながら、いずれも前を向いて生きていこうと提言し、アルバムが終わるので、聴き手もリアルな勇気がもらえることだろう。

 初回盤は歌詞カードの文字が大きい分、彼女の歌声もより堪能できる気がする。本作を通して聴けば、人生における様々な状況を予復習できて、より大きな感動と覚悟が得られるはず。
(ビクター・4CD+LPジャケット+豪華ブックレット 完全生産限定盤 6364円+税)=臼井孝

(2020年09月30日 07時09分 更新)

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